社説:消費増税法成立 「国民本位」に立ち返れ<秋田魁新報

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■ 秋田のニュース:社説 2012/08/11
社説:消費増税法成立 「国民本位」に立ち返れ
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(全文引用)

 与野党のドタバタ劇の末に、ようやく消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革関連法が成立した。「決められる政治」への第一歩と評価する声もあるが、政治の劣化を象徴するような党利党略絡みの異常事態が続いただけに、どうしても後味の悪さが先に立つ。

 しかも、関連法成立を機に永田町には一気に解散風が吹き始めた。衆院解散の時期を「近いうちに」とした野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁の合意解釈をめぐっては民主、自民両党がまたも対決姿勢を強めている。

 政治が権力闘争であることを否定はしない。だが、政争に明け暮れる中で「国民本位」という大事な視点が欠落してはいないか。不況にあえぐ国民に重い負担増を求める増税法案が成立したのに、改革の中身はまだまだ不十分なのが実態だ。政府、国会は国民の理解を得るために、さらなる改革断行にまい進しなければならない。

 関連法成立によって消費税率は2014年4月に8%、15年10月には10%に上がる。1997年に現行の5%に引き上げられて以来の大型増税となる。これが「国民生活が第一」と訴えて政権交代を果たした民主党政権下で決まったことについて、強い抵抗感を覚える国民は少なくないはずだ。

 確かに少子高齢化が進む中で社会保障制度の維持・拡充を図り、危機的な状況にある財政の再建につなげていくには増税も必要だろう。だが、目的が正しければ時の政権は何をやってもいいというのでは、民主主義は成り立たない。

 野田首相は一体改革法案の成立に「政治生命を懸ける」と繰り返して増税路線をひた走ったが、その実態は明らかな衆院選マニフェスト政権公約)違反であり、民主、自民、公明3党の談合だ。それが是とされるなら、国民は何を信じて投票すればいいのか。今回の関連法成立は、民主政治の在り方に大きな問題を投げ掛けていることを各党は銘記すべきである。

 そうした意味からも、増税で足並みをそろえた3党の責任は極めて重い。本来なら一体改革法案の成立前に衆院解散・総選挙を実施して国民に信を問うのが筋だったが、成立してしまった以上は改革に対する各党の取り組みについて厳しくチェックしていく必要があろう。

 今回の3党合意は事実上の増税先行であり、社会保障にしても税制にしても全体的な制度設計はこれからである。新設する「国民会議」を早期に立ち上げて議論を尽くすのはもちろん、国会議員の定数削減など政治が身を切る覚悟を早急に示さなければ国民の理解は得られまい。

 「近いうち」に行われる総選挙は、当然のことながら増税の是非を含む一体改革の在り方が最大の争点となるだろう。よもや選挙目当ての「絵に描いた餅」のようなマニフェストなど出ないものと信じたい。
(2012/08/11 付)




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