米国の銃規制 武装の要らない社会こそ 社説 12月24日(月){信濃毎日新聞}

信濃毎日新聞
トップ >http://www.shinmai.co.jp/
米国の銃規制 武装の要らない社会こそ
社説 12月24日(月)
http://www.shinmai.co.jp/news/20121224/KT121221ETI090005000.php
▼全文引用

 米コネティカット州の小学校で多くの子どもが犠牲になった乱射事件を受け、オバマ大統領が銃規制を進める考えを示した。

 バイデン副大統領をトップとする特別チームを立ち上げ、具体策を来年1月末までにまとめるよう指示している。

 武装の権利が憲法で認められている米国では、多くの市民が銃を所持している。その銃が罪もない人々の命を奪う深刻な事件が後を絶たない。過去には日本人留学生も被害に遭っている。

 そのたびに規制の必要性が説かれるものの、反対派は根強く、対策が一向に進まない。

 大統領は「今回は言葉を行動につなげなければならない」と強調した。2期目の重要課題に位置付けたものと受け止める。命の重さを第一とし、効果ある対策をまとめる必要がある。

 事件は今月14日の朝に起きた。銃を持った男が校舎に侵入して乱射、子ども20人を含む26人が死亡した。近年の乱射事件としては2007年、バージニア州の大学で32人が殺害された惨事に次ぐ規模となり、米社会ばかりでなく、世界にも衝撃を与えた。

 米憲法は武器を持つ権利について「自由な国家の安全にとって必要」と明記し、個人の自衛だけでなく、民主主義国家を守るため、との意味も込めている。

 1994年には自動小銃などの製造や新規所有を禁じる法律ができたものの、銃規制に反対する全米ライフル協会などの反発で8年前に失効している。

 同協会の政治的な影響力の大きさや、個人の権利を尊重する米国民の意識などが、規制の動きを阻んできたようにみえる。再選を果たしたオバマ氏も先の大統領選では銃の規制に関する踏み込んだ発言を避けていた。

 それでも、市民の考え方は少しずつ変化しているようだ。今回の事件の後に行った世論調査では銃規制の強化を求める市民が52%と過半数を占めた。

 特別チームは、銃購入者の身元調査の厳格化や国民の精神面の健康問題、暴力を容認しない文化の育成など、幅広い視点から論議をしていく方針という。

 市民を守るために認められた武装の権利が、市民社会の安全を脅かしている現実は、本末転倒と言わざるを得ない。規制対策を前進させるには、反対している市民への説得力ある説明も欠かせない。武装の必要性がない社会の構築を目指し、大統領には指導力を発揮してもらいたい。

信濃毎日新聞 トップ >http://www.shinmai.co.jp/




★関連ブログのご案内
福島原発事故と放射能汚染 そしてチェルノブイリ地方の現状(北の山じろう)
☆ホームページのご案内
関東・寄せ集め民報(ニュース・記事)
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所