米銃乱射事件 幼い犠牲者を思うなら 【社説】2012年12月19日{東京新聞 TOKYO WEB}

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米銃乱射事件 幼い犠牲者を思うなら
【社説】2012年12月19日
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▼全文引用


 二十六人が死亡した米小学校乱射事件では、二十人の幼い一年生が犠牲になった。大統領選挙中、一向に争点とならなかった銃規制。オバマ大統領は二期目の主要政策として取り組むべきだ。

 米東部コネティカット州の閑静な住宅地ニュータウン。クリスマスを迎える待降節のさなかに起きた悲劇は、全米を震撼(しんかん)させた。

 二十歳の容疑者が自宅で母親を射殺後、近くの小学校に銃三丁を持って侵入、数分の間に二十六人を殺害し自殺した惨劇には、動機をはじめ未解明の点が多い。家に閉じこもりがちだったとされるランザ容疑者、銃の収集家だったとされる母親とも死亡し、事件の全容解明にはなお時間を要しよう。

 オバマ大統領は、弔問に訪れた現地で、「子供たちの安全をあずかるものとして、私たちは十分に責任を果たしているだろうか。率直にいってノーだ。私たちは変わらなければならない」と述べ、今後数週間のうちにできる限りの対応をする決意を表明した。

 銃規制に対する機運が、今度こそ具体的な政策に結び付くことを期待したい。

 大統領選挙期間中、民主党、共和党を問わず銃規制に向き合う姿勢は見られなかった。七月にコロラド州で六歳少女を含む十二人の死者を出す乱射事件があったにもかかわらず、である。むしろ自衛のための銃購入は増加した。

 一九九〇年代のクリントン政権下で成立した「ブレイディ法」は、殺傷力の高い銃器規制、購入者の犯歴確認義務化などを通して一定の成果をおさめたが、時限立法だったためブッシュ前政権時代に失効した。二〇〇八年には、一般市民の銃所持を合憲とする最高裁判決も出され、銃規制運動の大きな軛(くびき)となっている。

 銃文化は建国理念と不可分、とする銃のロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」の政治的影響力は繰り返し指摘される。

 それでも、今回の悲劇をきっかけに、ファインスタイン民主党上院議員のように、ブレイディ法に相当する規制法を新議会に提案する動きも出てきた。NRAが支持する連邦議員の間からも頑(かたく)なな姿勢を見直す発言が聞こえる。米留学中の服部剛丈君が射殺された事件から二十年を迎えた日本にとっても人ごとではない。

 芽生えた銃文化自省の念を、悲劇再発防止へ繋(つな)げること。それが、奪われた幼い命の語らざる声に応える政治の責任ではないか。
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