《石平のChina Watch》習近平政権は冷めた餃子 老害一派が牛耳りもう「死に体」{zakzak}

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《石平のChina Watch》習近平政権は冷めた餃子 老害一派が牛耳りもう「死に体」
2012.11.22
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20121122/frn1211221325001-n1.htm
▼「zakzak」から全文引用

 今月15日に選出された中国共産党政治局常務委員の顔ぶれを見ていると、何だか習近平政権の暗い未来に同情したくなる思いである。7人の常務委員の大半は、大した実績も国民的人望もなく、未来へのビジョンも開拓の精神もいっさい持たない守旧型の党官僚ばかりだからだ。

 昔、米メディアが日本の総理大臣のことを「冷めたピザ」と揶揄(やゆ)したことがあるが、それにならって、多少の失礼(?)は承知の上で中国の政治局常務委員の面々を「冷めた餃子(ぎょうざ)」と評したい。この最高指導部の布陣では、中国国民に「希望」を与えるようなことはまず無理であろう。

 さらにたちの悪いことに7人の政治局常務委員の中の5人までは、江沢民(前国家主席)派か江沢民派に近い人間である。表向きは「習近平政権」となっているが、内実はむしろ、老害江沢民一派が牛耳る「江沢民傀儡(かいらい)政権」であるといえよう。

 これでは、がんじがらめとなっている習近平氏や李克強氏などの新世代指導者が思い切った仕事をできるはずもない。習近平政権はその誕生した時点から、すでに「死に体」の様相を呈しているのである。

 江沢民一派が全力を挙げて権力闘争を勝ち抜き、新しい最高指導部の掌握に躍起になったのには、それなりの理由がある。

 本欄で指摘してきた通りに今年の春頃から、共産党党内では胡錦濤国家主席が率いる共青団派の若手ホープの汪洋・広東省党書記が先頭に立ち「政治改革」を盛んに唱え、改革推進の機運が高まってきている。

 汪氏たちの目指す政治改革は政治権力が市場経済に介入して作り上げた腐敗の利権構造にメスを入れ、それを打破することによって国民の政権に対する不満を解消することである。

 だが、これまで二十数年間、全国で腐敗の利権構造を作り上げ、甘い汁を吸ってきたのはまさに江沢民一派とその関係者だから、彼らは汪氏たちがやろうとする政治改革を許せない。

 その結果、今夏の段階で一度は固まった、改革派の汪氏と改革派に近い中央組織部長だった李源潮氏の政治局常務委員会入り人事が江氏ら長老たちによって潰され、「政治改革」への流れは見事に封じ込められたのである。

 すべては江沢民一派の思惑通りの展開となっているが、残された大問題はむしろ、政治改革を断行することによって難局打開の突破口を作る機会を失った習政権がこれから、一体どうやって民衆の不満を解消して政権の維持を図っていくのか、である。

 15日の党総書記就任の直後に行われた「就任演説」で習氏自身は、これといった政策ビジョンを示すことができなかったが、その代わりに、彼は頻繁に「民族」という言葉を持ち出して「民族の偉大なる復興」を熱心に唱えた。

 つまり習氏は、「江沢民傀儡政権」のトップよろしく、10年前の江沢民時代の政治路線を継承し、ナショナリズムを高らかに掲げてそれを政権維持の柱にしようと考えているのだ。

 今後、「冷めた餃子」の習政権の下で貧富の格差の拡大などの問題がよりいっそう深刻化し国内の混乱がさらに拡大してくると、対外的危機を作り出し国民の不満を外に向けさせるのが彼らに残された「最善」の選択肢となろう。

 その時に、尖閣と日本は彼らにとっての格好の標的となりかねない。したがって日本としては、今後5年内における習政権の動きを注意深く観察しながら「その暴走」を大いに警戒すべきであろう。

                   ◇

【プロフィル】石平

 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。



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