【太平洋新時代】「日米一体化」におびえる中国★(4)<zakzak>

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【太平洋新時代】「日米一体化」におびえる中国
★(4)
2012.11.18
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20121118/frn1211180709000-n1.htm
▼「zakzak」から全文引用

 中国共産党は15日、第18期中央委員会第1回総会(1中総会)を北京で開き、新たな総書記習近平国家副主席を選出、習指導部が発足した。新体制に、中国のゆがんだ成長戦略を正すことが可能なのか。

 中国はいま、景気後退局面に突入しつつあり、新体制にとっては「最良の船出」とは言い難い。だが、大改革を実行するうえでの好材料があることは指摘しておきたい。

 中国政府や共産党が、国民の技術水準からすれば効率的ではないハイテク化・産業化に必死なのは、単に、日本の成功体験をまねているだけではない。国家には、たとえ経済合理性が欠けていても、ハイテク化を志向せざるを得ない時が存在する。それは、「安全保障面で脅かされている」と感じたときだ。

 中国の指導層が、1840年のアヘン戦争から、1949年の中華人民共和国の建国までを、「内部分裂と西洋列強(日本も中国文明の一員から、西洋文明へ『転向』したとみられている)にとことん侵略された、屈辱の時代」とみていることは、想像に難くない。

 また、建国直後に起きた朝鮮戦争では、アメリカ軍が北朝鮮との国境まで攻めてきたし、ソ連と対立するようになった後、毛沢東は米ソによる挟み撃ちにおびえていた。

 だが、今や超大国となった中国が、外部の脅威におびえるべき理由は、あるのだろうか?

 この問いに対する答えは、残念ながら「YES」である。実は、中国側は「日本とアメリカが組んで攻めて来る」と本気で恐れているようなのだ。日本とアメリカのGDPを合計すれば、中国の3倍以上だから、いかに中国が強くなったとはいえ、勝ち目はない。

 ところが、日本は中国のおびえを攻撃性と錯覚して「日米一体化」などと、さらに中国を怖がらせる策に出ている。これでは、中国の無理なハイテク化も、無理な輸出重視も止まらないだろう。すると輸出競争の激化で日本の失業率は上昇し、中国の内政面での不安定性も高止まりとなってしまう。

 ただ、連載第1回で述べた「アメリカの撤退」が現実ならば、中国としては、安全保障面での脅威が大幅に軽減される。無理なハイテク化、産業高度化から解放され、本当に国民の生活水準を向上させる政策体系へと、方向転換ができるようになる。

 アメリカが内向きか、せいぜい、西半球中心の大国となるのに応じて、中国も内向きの、だが、より幸福な地域大国に変貌するという「均衡解」は、十分に可能なのだ。

 ここでやっと、日本の出番となる。

 徳川家広(とくがわ・いえひろ)1965年、東京都生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、米ミシガン大学大学院で経済学、コロンビア大学大学院で政治学修士号を取得。国連食料農業機関(FAO)に5年間勤務。現在は翻訳家、政治・経済評論家に。訳書に「訣別 ゴールドマン・サックス」(講談社)、著書に「なぜ日本経済が21世紀をリードするのか」(NHK出版新書)など。徳川宗家19代目に当たる。



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