暴力の次は不買、取引停止… 中国で進行する日系企業はずし<zakzak>

zakzak
ホーム>http://www.zakzak.co.jp/
暴力の次は不買、取引停止… 中国で進行する日系企業はずし
2012.10.06
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20121006/frn1210061315001-n1.htm
▼全文引用

 「長年にわたり、卒業生を大量採用してきた内陸部の複数の職業訓練校から、紹介は当分行わないと通告された」。上海に本社のある日系電機メーカー幹部は、肩を落とした。信頼関係を築いてきたつもりだったが、新卒者の採用が長期間にわたって途切れれば、中国での生産態勢は見直さねばならない。

 学校側は「日中関係の悪化とは関係ない」と説明したというが、日本政府による尖閣諸島国有化への対抗措置の可能性が高い。

 一部が暴徒化して店や工場が襲撃された反日デモや、日本人を標的にした暴力行為など、目に見える直接的な被害は影を潜めた。しかし、日本製品不買運動に加え、「日系企業はずし」ともいえる間接的な被害が、じわじわと広がっている。

 日系機械メーカーが、遼寧省の大学で落札したはずの数億円に上る機器納入案件が、「書類不備」を理由に突然キャンセルされた。契約違反だと主張しても、らちがあかない。同社は「大学に限らず、地方政府の調達でも日系企業との取引を停止する動きがある」と話している。

 日系企業の輸出入貨物に対する通関作業の大幅な遅れも、表面化している。電機メーカー幹部は「日本との輸出入で多発し始めたため、コンテナを香港や韓国を経由する別ルートに変更してしのぐ」と明かした。

 ただ、日本貿易振興機構ジェトロ)北京事務所は「取引停止などは地域や相手先でまちまち。(政府の指示など)組織的な対抗措置とは考えにくい」とみる。

 中国政府がチラつかせる「経済制裁」とは別に、現場レベルでの「自主的な制裁」が始まったと受け止めている。

 中国の組織は、指示を受けなくても政治的に敏感な問題とみれば「空気」を読み、今は日系企業との関わりは避けたい、との心理が働く。よほどの理由がなければ、「なぜ日本人と取引するのか」と突き上げられたときに、反論できないからだ。

 伏線もあった。中国商務省は9月13日に、「中国の消費者が理性的な形で、自らの立場や考え方を表明したとしても、それは彼らの権利であり理解すべきだ」との立場を表明した。日本製品のボイコット容認に加え、あらゆる場面で「日系企業はずしを進めよ」とする政府の“号令”にも聞こえる。

 中国中央テレビや地方の衛星テレビ局、新聞、雑誌など、あらゆるメディアも日系企業に関連する番組や記事、広告などを停止した。同時に、日本製品ボイコットや訪日観光キャンセルの広がり、日本政府に対する非難を執拗(しつよう)なまでに伝えている。

 中国共産党の「喉と舌」(宣伝機関)と位置づけられる中国メディアを総動員した対日批判のキャンペーンは、日系企業で働く中国人にも影を落とす。

 日系企業が多数進出する広東省では、中国人従業員が反日デモに便乗し、職場放棄するケースも出ている。労働組合の全国組織、中華全国総工会も日本を強く非難しており、ストライキなど実力行使を推奨する心配も指摘されている。

 中国に現地法人や事務所を構える日本企業は8月末段階で1万4394社、長期滞在する日本人は13万人、日系企業が直接雇用している中国人は1千万人いるとされる。

 しかし、日中関係筋は、「雇用機会をはじめ、経済合理性だけで日本を大事にしようと考えるほど、中国は甘くない」と話す。まさか、自らの雇用や経済を犠牲にしてまで日本を追い詰めないだろう、という見方は政経不可分の中国には通じない。中国には、「日系企業に変わる取引先は、中国内外にいくらでもある」(上海の建設大手)との自信もある。

 中国は7日まで、中秋節国慶節建国記念日)の大型連休中。ジェトロ北京事務所は「日系企業にとって一過性の被害なのか、長期化、広範化するのか、連休明けの動きがカギ。11月8日に開幕する中国共産党大会での最高指導部の交代など、政治動向も見極めたい」という。“異質な国”との経済関係をどう再構築するか。日系企業の形勢立て直しは容易ではない。(上海 河崎真澄)

zakzak〜全文引用


☆ホームページのご案内
関東・寄せ集め民報(ニュース・記事)
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所