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特別リポート:野村「増資インサイダー」の行方、当局との攻防90日
(1)〜(8)
2012年 06月 15日 16:25
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE85E04C20120615?pageNumber=8&virtualBrandChannel=0
(1)を引用。(2)以下は、URL からお読みください。

[東京 15日 ロイター] 相次いで表面化している増資インサイダー問題で、野村証券の関与が際立っている。かつて総会屋への利益供与や暴力団との癒着、大口顧客への損失補てんなど数々のスキャンダルにまみれた同社。一時期は、過去との決別をめざし「コンプライアンス(法令順守や企業倫理)の優等生」とも評された。

だが、負の遺伝子は消えていなかったのか。金融庁証券取引等監視委員会との攻防は3月に明らかになって以降、90日間に及んでいる。行政処分の内容次第では、経営陣の進退問題も避けられないとの指摘も出てきた。業界のガリバー、野村の動揺は、日本の資本市場の機能不全にもつながりかねない。

<苛立つ金融担当相、矛先は野村証券に>

「なぜ野村証券は電話の1本も寄越さないんだ。どうなっているんだ」――。3月23日、霞が関・中央合同庁舎7号館17階に構える金融庁大臣室に、自見庄三郎・担当相(当時)の野太い声が響き渡った。傘下の銀行によるインサイダー取引が発覚し、その二日前に課徴金の支払いを勧告された三井住友トラスト・ホールディングス(8309.T: 株価, ニュース, レポート)の田辺和夫社長(当時)らが謝罪に訪れた時のことである。

本来ならば、インサイダー取引を実際に行い、不正な利益を上げた三井住友トラストの首脳が叱責される場になるはずだった。ところが、自見担当相の怒りの矛先は、インサイダー情報を流したと監視委が認定した野村証券に向けられていた。

「監視委から事件の一角を担っていたと指摘されながら、まったく認めようとしない野村の姿勢に憤っていた」と金融庁幹部は話す。田辺社長らは、結局、自らの不祥事を詫びるタイミングを逸したまま大臣室を後にした。

3月以降、日本では公募増資をめぐるインサイダー問題に対し勧告や行政処分が相次ぎ、東京マーケットへの信頼を根底から揺るがす事態に陥っている。すでに出されている勧告だけでも、旧中央三井アセット信託銀行で2件、和製ヘッジファンドのあすかアセットマネジメントが1件、さらに6月に入ってからは米国の金融機関でも不正が発覚し、合計4件に達した。

このうち3件で、インサイダー情報を提供したのが野村証券だった。野村はそれぞれの案件で公募増資の主幹事を務めていた。増資を計画・実施する「引き受け」業務と発行された株式を売る「販売」業務の間には、事前の情報漏れを遮断するチャイニーズ・ウォール(情報隔壁)が存在しなくてはならない。野村のインサイダー関与は、それが機能していない日本市場の現実を浮き彫りにした。 続く...

(2)http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE85E04C20120615?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0