連載:「日本」の解き方 “橋下新党”アキレス腱は立候補者の顔!<zakzak

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連載:「日本」の解き方
“橋下新党”アキレス腱は立候補者の顔!
2012.09.02
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120902/plt1209020737002-n1.htm
(全文引用)

 大阪維新の会は9月中旬にも新党を立ち上げると報じられた。当初は国会議員の参加を呼びかけ、既存政党と合流はしないらしい。

 まあ、 解散・総選挙が「近いうち」とされ、選挙準備が進んで既存政党は各選挙区に候補者を事実上立てている。その中で、維新がいかに人気が高くても、既存政党で 合流(合併)するところはまず出てこないだろう。逆にいえば、今頃になっても各選挙区で候補者を立てられないような既存政党なら、泡沫(ほうまつ)である のが確実で、維新としても合流するメリットは何もない。

 維新としては、選挙前になんとか法的な政党に仕上げておきたいところだ。でないと、選挙に大きく不利になる。

 政党要件は基本的には国会議員5人。そのためには、既存政党との合流か、既存政党から離党した国会議員5人を維新に入党させることになるが、維新が既存政党との合流がないという以上、後者になるのだろう。

  これから維新にとって正念場が来るだろう。政党政治は、党首の顔、政策、立候補者の顔の三要素が大事だ。維新の場合、党首の顔は発信力抜群の橋下徹大阪市 長。国政ともなれば党首が国会議員でないと問題という意見もあるが、かつて社会党委員長で横浜市長(非国会議員)であった飛鳥田一雄氏の例もある。橋下市 長も今のところ国政に出ないといっている。

 政策は、「八策」を見てわかるが、既存政党とは一線を画している。これは選挙では、現状に不満がある国民に対して重要な選択肢を提供している。

 最後に、立候補者の顔、これが維新のアキレス腱になりかねない。これまでの既存政党からの離党者ではこれというインパクトが乏しい。もちろん離党者にも将来の可能性を感じさせる人は少なくないが、あくまで現時点でのサプライズはない。

  この維新の候補者の顔との関係で、最近になって維新と安倍晋三元首相との連携観測が高まっている。安倍元首相は自民党総裁選に出馬する可能性もあり、自民 党を離党するとは考えられていない。一方で、野田民主党と近い谷垣禎一現総裁とのスタンスの違いも鮮明になっている。この意味で、維新の新党立ち上げは、 自民党総裁選やその後の政界再編の方向性に影響を与えているのは間違いない。

 自民党総裁選は、民主、公明との増税大連立も視野に入る谷 垣総裁とその流れをくむ他候補との争いといわれてきたが、ここに来て維新との連携を重視する安倍元首相が分け入ってきた。この意味で「大連立路線」対「維 新連携路線」との戦いだ。この対立図式は政界再編でも当てはまる。

 今年の米国大統領選でも、現職のオバマ陣営が成長による雇用確保を訴え、ロムニー氏は財政再建で対抗しており、成長か財政緊縮かという対立図式があるが、どうも日本も似たような構図のようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一