県民、冷めたまなざし 佐藤前知事有罪確定へ 復興の方が大事{福島民友新聞}

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県民、冷めたまなざし 佐藤前知事有罪確定へ 復興の方が大事
2012年10月17日 (水)
http://www.minpo.jp/news/detail/201210174277
▼「福島民友新聞」から全文引用

 福島県発注の木戸ダム工事に端を発した汚職事件は前知事佐藤栄佐久被告(73)の逮捕・起訴から足かけ6年で、司法の最終判断が下された。「一点の曇りもない」と一貫して無罪を主張し、検察と鋭く対峙(たいじ)した栄佐久被告。しかし、司法は厳しい姿勢を貫いた。東日本大震災東京電力福島第一原発事故からの復興に向け課題が山積する中、かつての県政トップの有罪確定の見通しが明らかになった16日、県民、県職員は冷めた表情を浮かべた。
 栄佐久被告の有罪が確定することを、県民は冷静に受け止めた。
 伊達市の会社員渡辺紀子さん(26)は「東日本大震災という大惨事を経験した。だいぶ前の事件の有罪を言われてもピンとこない」としながらも、「福島のトップの立場を利用してやったことで見逃してはいけない事件。報いは受けなければならない」と最高裁の判断を支持した。
 楢葉町から避難し、いわき市の借り上げ住宅に住む主婦、金井直子さん(47)は「復興に向け、全国から温かい励ましを受けている最中に、かつての県のトップの有罪が確定することは残念」と県民の前向きな気持ちへの影響を懸念した。「逮捕から有罪確定まで長過ぎる。事件の記憶も薄れてしまう」とも述べた。
 栄佐久被告の地元・郡山市の会社員宗像正勝さん(54)は「罪を償い、復興に向けた活動で名誉挽回すべき」と話した。
 会津若松市の会社員白井利光さん(60)は「『県政の発展に尽くした知事』というイメージが強かっただけに、栄佐久被告の主張を信じていたのだが」と語った。
 郡山市のアルバイト河原麗子さん(62)は「講演会にも参加して、無罪を確信していたのに」と話した。

■県職員遠い過去の話…
 「前知事が有罪確定らしい」。午後5時15分すぎ、退庁時刻を迎えた県庁内では、突然の知らせに帰り支度を始めていた県職員の動きが止まった。残った職員の間で情報が飛び交い、事件の舞台となった土木部では、職員が急いで福島民報の号外やインターネットで情報を集めた。
 本庁舎1階と西庁舎4階にある土木部の各課は明かりがともり、多くの職員が黙々と残業していた。栄佐久被告の逮捕当時、県の出先機関の建設事務所にいた男性職員は「今は震災や原発災害からの復興に向け、重要な時期。遠い過去のように感じる」とつぶやいた。
 「複雑な心境だが、司法が下した判断を受け止める」。十数年前、栄佐久被告を間近で見ていた県幹部は冷静に語った。「県は事件後、県民の信頼を回復するため入札改革を進めてきた。これからも透明性確保に努める」と話した。
 管理職の1人は「われわれは粛々と県政業務を進めるだけ」と淡々と語り、足早に職場に戻った。

原子力政策を批判 震災後の栄佐久被告
 東日本大震災後、栄佐久被告は被災地を巡り、各地で原子力政策の問題点を指摘する講演会などで持論を展開した。
 今年1月、フランスの自治体のトップら10人ほどが栄佐久被告の自宅を訪れた。栄佐久被告は予定時間をオーバーして日本の原子力政策を批判した。
 3月に原子力委員会が原発の中長期的な措置について意見を聴く会を郡山市で開いた際には、近藤駿介委員長に対し、「全人格をかけてやってくださいとお願いした」と、知事時代に指摘したことを引き合いに出し、「これだけ苦労を掛けて、県民にとっては許せない」と強い口調でまくしたてた。

■栄佐久被告「無罪へ闘い続ける」
 「これが法治国家か。弁護士と相談し再審請求を含めて無罪を証明する闘いを続けていく」。16日午後9時すぎ。車で郡山市の自宅に戻ってきた栄佐久被告は、自宅内で報道陣の取材に応じると、怒りの表情で心境を語った。
 約20人の記者に囲まれた栄佐久被告は、用意したコメントを読み上げた。「高裁判決では弟との収賄を認めたが、追徴金はゼロ、つまり、賄賂の金額もゼロと認定した。ならば無罪なのに、特捜部の顔を立て実質無罪の有罪判決にした」。最高裁判断への憤りがにじむ。
 B4判の用紙いっぱいに書かれたコメントは裁判に対する指摘にとどまらない。知事在任中に原発問題で国と激しく対立してきたことにも触れ、「事件はこのような攻防を背景に起こされました」と見解を示した。取材への対応は午後11時ごろまで続いた。
 栄佐久被告は16日午前10時から11時ごろに裁判所から郵送で届いた上告棄却を知らせる書類を見た。見た直後は「有罪という実感はなかった」という。

■「無罪信じたが…」栄佐久被告関係者
 栄佐久被告から便宜供与の「指示を受けた」とする検察側立証の根拠となる証言をした元県土木部長の男性方では、家人とみられる女性が福島民報社の取材に応じた。女性はインターホン越しに「(元部長は)外出中」とした上で「何もお話しすることはありません」と語った。
 栄佐久被告の知事時代に選対本部幹部として支えた郡山市の会社役員男性は「二審の結果を『実質的な無罪』と受け止め、無罪になるものと信じていたのに」と語った。


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