民主色あせた政治主導 県内新人議員が振り返る{神戸新聞}

神戸新聞
HOME>http://www.kobe-np.co.jp/
民主色あせた政治主導 県内新人議員が振り返る
2012/10/17 08:14
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005455495.shtml
▼「神戸新聞」から全文引用

2009年の衆院選民主党が、マニフェスト政権公約)の中軸に掲げた「政治主導」は、3年の月日を経て、今やすっかり色あせてしまった。そもそも無理な約束だったのか。それを許さない官僚の壁が厚かったのか。政権交代の象徴ともなった新人議員たちの体験から、その変遷をたどった。(山崎史記子、佐藤健介)

 「次の質問に○か△か×でお答えください。

 民主党は、マニフェスト施策によって借金を増やしている

 “コンクリートからヒトへ”は“コンクリートもヒトも”になっている」

 今年9月、岡田康裕衆院議員(兵庫10区)は、「民主党マニフェスト2009 財源論16・8兆円の一考察」と題して、独自の検証をブログに掲載。クイズ形式で主要施策の現状などを示した。財務省の公開資料を基に予算組み替えによる財源確保額を示すなど、具体的な数字を前面に出した。

 「実現できなかったことも正直に出すことで、有権者に聞く耳を持ってもらいたい」

 「検証」は、「仕分け人」などとして関わってきた政府や党、国会による事業仕分けでの経験がきっかけの一つだった。

 事前に省庁などの担当者から聞き取りを行う仕分け作業だが、質問した範囲、必要最低限の情報しか開示しようとしない姿勢に閉口したという。「見直し」「廃止」と判断された事業も、名前を変え、いつの間にか復活するなど、「骨抜き」との批判が高まった。

 一方で「批判も含め、行政に対する監視の目は社会に広まった」とも話す。「すべてが失敗と思われては不本意。何ができて、何ができなかったか。もっと工夫して伝えなければ」

     ■

 民主党政権は、自民党を反面教師に、政策決定システムを一変させた。党の政策調査会(政調)や各府省の事務方トップによる事務次官会議を廃止。「議員側が役人との接触を過剰に自主規制していた」。井戸正枝衆院議員(同1区)はそう振り返る。兵庫県議として県職員とも接触してきた経験から、官僚との距離感に戸惑ったという。

 「官僚の発想にはないものをどう具現化するか。それを突破するのが政治家であり、政治主導。双方のコラボレーションはやはり欠かせない」。今はそう思える。

     ■

 9月14日、政府が公表したエネルギー戦略は、これまでの原発政策を百八十度転換した。経済産業省文部科学省の来年度概算要求には、初めて使用済み核燃料の直接処分に関する研究開発費が計上された。

 「エネルギー全般の話は道半ばだが、政治主導の大きな足跡だと思う」。党エネルギー・環境調査会で、事務局長代理を務めた石井登志郎衆院議員(同7区)は強調する。

 しかし、ここに至るまでは「原子力政策大綱では、直接処分の研究を行う前提がない」「大綱が新しく変わらなければできない」などと、経産省側も抵抗を繰り返したという。

 「法律の中で仕事をするのが官僚。それを監視し、動かすのが政治の仕事」。それが、役所との厳しいやりとりを経て、見いだした政治主導の姿だ。

【「党内合意形成なし」が最大の問題 飯尾潤政策研究大学院大学教授の話】 「政治主導」で何をすべきか、党内で合意形成をしていなかったことが最大の問題。政治家がおのおの勝手に行動する「政治家主導」なら、自民党政権でもやっていた。

 政調廃止や国家戦略局の設立は、あくまで「部品」。全体として物事が決められるように、制度や仕組みを作らなければ、うまくはいかない。

 選挙を目前に、付け焼き刃的な議論をしても、きちんとしたものはできない。準備不足なまま政権交代を果たしたのに、慎重さを欠き、傲慢(ごうまん)だった。せめて内閣が替わる度にマニフェストの弱点を補強し、政策の見直しを行うべきだった。

民主党政権による政策決定変遷】 2009年衆院選マニフェストで政策決定一元化を公約。鳩山政権では、党の政策調査会(政調)や各府省の事務方トップによる事務次官会議を廃止し、首相直轄の「国家戦略局」の前身として「国家戦略室」を設立した。

 ところが、後継の菅政権では党政調を復活し、政調会長と閣僚を兼任させる一方、国家戦略局を設置する関連法案は取り下げに。東日本大震災後には復旧・復興への対応強化を名目に、事実上の事務次官会議「連絡会議」を復活させた。連絡会議は野田政権に代わっても存続。政策決定は、政調会長の事前了承を経て「政府・民主三役会議」で法案を最終了承する方式に変更した。


★関連ブログのご案内
福島原発事故と放射能汚染 そしてチェルノブイリ地方の現状(北の山じろう)
☆ホームページのご案内
関東・寄せ集め民報(ニュース・記事)
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所