圧勝434万票:始動・猪瀬都政/中 未知の行政手腕 「一点突破」に限界地道な積み重ね不可欠{毎日新聞}

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圧勝434万票:始動・猪瀬都政/中 未知の行政手腕 「一点突破」に限界も 地道な積み重ね不可欠
2012年12月19日
http://mainichi.jp/select/news/20121219mog00m010028000c.html
▼全文引用


 警視庁のSPに先導され、初めて知事執務室の椅子に座った猪瀬直樹知事(66)は冗舌だった。報道陣に「これから新しい発想で都政をスピーディーに改革する」と決意を語り、棚に並べた自署の紹介も始めた。職員への訓示では「国のリーダーは毎年変わる」「霞が関は縦割りで排他的」と身ぶり手ぶりを交えながら国政や官僚を批判し「東京から日本を改革しよう」と呼び掛けた。

 道路公団など権力や巨大組織の無駄や既得権益に切り込んできた猪瀬氏。副知事就任後も、東京メトロ東京電力株主総会に単身で乗り込み、コストカットなどを訴える「改革者」としてのイメージを印象付けてきた。

 だが、16万人超の職員を動かす知事としての行政手腕は「未知数だ」と、多くの都職員や都議が口をそろえる。「政治家でも官僚でも企業人でもない人。どうなるか予測がつかない」。幹部の一人は不安を隠さない。

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 07年に副知事に就任した猪瀬氏だが、実は接点があった職員はそう多くない。石原慎太郎前知事が起用する際に都議会が反発し、所管部署を持たないことになったからだ。

 「特命担当」として、必要に応じて部局横断的なプロジェクトチームを結成。水道技術の海外輸出、東京湾岸の天然ガス火力発電計画などは自ら発案して手掛けた。「机と椅子しかない。だから、自分でプロジェクトを作って新製品を開発した」と振り返る。

 こうした手法はいわば「一点突破型」。だが、都の業務は幅が広く、あらゆる政策は議会の議決がなければ進まない。優先順位を決め、利害を調整する力も、行政トップには不可欠だ。

 自民党のベテラン都議は「知事と議会は車の両輪で、片方だけが突っ走ろうとしても走れない。官僚や東電など分かりやすい“敵”をたたくのと同じ感覚で議会に臨めば、すぐに行き詰まる」とけん制し、こう付け加えた。「これまでやってこられたのは、バックに石原知事という大きな存在があったから。それを全て自分の力と過信するのは危険だ」

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 高齢者のケア付き住宅、地下鉄内のメール環境整備、老朽化した火力発電所の更新促進……。猪瀬氏が選挙戦で示した実績からは、東京をどんな街にしたいかの全体像が見えにくい。18日の記者会見で目指す将来像を問われると、都市の成り立ちなどを解説したうえで「一人一人が助け合う輝く街」と締めくくった。



 群れるのを好まず、一人で突破を図る猪瀬氏の行動力は、時として「新聞やテレビがどう報じるかを、いつも考えている」(都庁幹部)と受け取られる。技術系部局の勤務が長い管理職の男性は「得意分野の掘り下げだけでなく、最高指揮官として俯瞰(ふかん)することも必要。行政には地道に積み重ねて結果を出す分野もある」と、新知事のこれまでと違うリーダーシップの発揮を期待する。

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 ■猪瀬新知事のあゆみ

1946年11月 長野県で生まれる

  70年 3月 信州大人文学部卒業。在学中は学生運動のリーダーも務める

  75年 3月 明治大大学院政治経済学研究科修了

  83年 3月 最初の著書「天皇の影法師」を刊行

  87年10月 西武グループと皇族をテーマにした「ミカドの肖像」で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞

  96年12月 「日本国の研究」で文芸春秋読者賞受賞

  97年 4月 日本ペンクラブ理事に

2001年 4月 東京大学客員教授に(09年まで)

      6月 行政改革断行評議会(行革担当相の諮問機関)委員に

  02年 6月 内閣府の道路関係四公団民営化推進委員会委員に(05年9月まで)

  06年10月 東京工業大特任教授に

  07年 4月 内閣府地方分権改革推進委員会委員に

      6月 副知事に就任。在任中に5冊の新書を出版

  12年 2月 東京マラソンを完走

     11月 知事選立候補により副知事を自動失職

     12月 知事選で初当選

〔都内版〕


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