私の視点:2012衆院選/5 復興の将来像描く時=東京本社地方部長・大坪信剛{毎日新聞}

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私の視点:2012衆院選/5 復興の将来像描く時=東京本社地方部長・大坪信剛
毎日新聞 2012年12月12日 東京朝刊
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▼全文引用

 衆院解散前日の11月15日、宮城県気仙沼港にいた。戻りカツオ漁の白い船が並び、津波で失われた保冷用の「製氷工場」は再建された。しかし、岸壁の本格工事はこれからで、壊滅的な打撃を受けた水産加工業も、まだ復興途上だ。

 被災地の生活再建が遅れている。復興住宅の着工は遅々として進まず、被災者による住宅の自力移転も資金的に困難だ。「再建しなければいけないものは、民間・個人のものなのに、税金は公の施設にしか入れられない」。菅原茂・気仙沼市長が支局記者に訴えていたが、予算の使い方が現場の求めとずれていないか。

 反捕鯨団体対策費や官庁の耐震改修への「流用」があるのに加え、使途を原則「公共」としているため個人への支援金が少ない。生活再建のためであれば補助金を出しやすくできるよう、しゃくし定規な基準を見直そう。

 もともと、被災地の多くは、震災前から人口減少と高齢化が進んでいた地域だ。そこに震災が襲い、人口流出が加速し、産業・医療の縮小が進む。それは、日本の未来の姿につながっている。

 福島第1原発を抱える福島では、住民の帰還が困難な地域があり、県内全体が、子育て世代を中心とした人口の減少に見舞われている。原発問題は、福島だけではない。高濃度放射性セシウムを含む指定廃棄物の最終処分場をどこにするか、栃木、茨城など各県で大問題となっている。

 公示の日。野田佳彦民主代表、安倍晋三自民総裁、嘉田由紀子未来代表、福島瑞穂社民党首は、福島で第一声を上げ、原発問題を重視する姿勢を見せた。「脱原発」「卒原発」と将来を問うことは重要だ。一方で被災地にとっては、今ある問題の解決がより求められている。除染を確実に実施し、早期の賠償を通じて生活を再建し、震災前の暮らしに戻してもらいたい。

 そして、政治家には復興に向けたビジョンを示してほしい。被災地のために、新たな産業を興して街づくりを進めていくのか。安定的な雇用政策を進めて個人消費を活発化させるのか。経済成長とは一線を引く、こころ豊かな社会にするのか。人口減を観光等の流入人口でまかなうのか。

 「震災復興」を掲げる各党のマニフェスト有権者にむなしく響かないように、ビジョンを示し、日本の将来の展望につなげてほしい。政治主導の街づくりが、まず被災地で求められている。
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