スペイン・カタルーニャ 新国家なお、道険しく{東京新聞 TOKYO WEB}

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スペイン・カタルーニャ 新国家なお、道険しく
2012年11月27日 朝刊
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▼「東京新聞 TOKYO WEB」から全文引用



 【カタルーニャ(スペイン)=野村悦芳】スペイン北東部カタルーニャ自治州で二十五日に実施された州議会選挙では、独立支持派が議席の三分の二近くを占め、独立への民意の高まりが明らかになった。独立派の第一党「集中と統一」は公約に掲げた住民投票を四年内に実施して独立の賛否を問う構えだが、実施へのハードルは高い。新国家樹立には課題が山積している。

 十二議席を失った集中と統一の党首マス州首相は「今後は他党の協力を求める」と述べ、独立派に連立を呼び掛ける姿勢を示した。

 日刊紙バンガルディア(電子版)によると、第二党に躍進した急進独立派「カタルーニャ左翼共和党」のジュンケラス党首は交渉に応じる方針。他の独立派二党も住民投票実施には賛成しており、少なくとも住民投票への協議は始まるとみられる。

 しかし、スペインでは国会の同意のない住民投票は認められておらず、国内総生産(GDP)の二割を占めるカタルーニャ州を失いたくない中央政府は「住民投票違憲でクーデターに等しい」(ガルシアマルガリョ外相)と真っ向から批判し、応じない見通しだ。合憲性をめぐり訴訟に発展する恐れもある。

 住民投票で独立の民意が表明されたとしても、難関はさらにある。最大の問題は欧州連合(EU)に新国家が自動的には残れない可能性が高いこと。再加入には全加盟国の了承が必要だが、スペインの反対は必至だ。

 また、新国家にはスペインの巨額の債務を一部負担させるべきだという声も中央政府にはある。

 十七自治州最大の債務を抱えるカタルーニャは、国に既に約五十億ユーロ(五千三百億円)の支援を要請しており、これ以上の負担には耐えられそうにない。中央政府との摩擦がさらに過熱すれば、スペインの債務危機対策にも影響が出ることになる。

 <カタルーニャ州議会選挙結果> スペインからの分離独立を最大の争点に行われ、与党でマス州首相率いる中道右派の「集中と統一」など、独立支持の4党が定数135のうち87議席を占めた。

 集中と統一は12議席を失い50議席に大きく後退したが、第1党の座を守った。急進独立派のカタルーニャ左翼共和党が10議席から21議席に増え、第2党に躍進。両党で過半数を制した。

 独立に反対する勢力では、カタルーニャ社会党が8議席減の20議席、国政与党の国民党は1議席増で19議席だった。投票率は69・56%。

※参考
カタルーニャ州 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A3%E5%B7%9E
カタルーニャ・ナショナリズム - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A3%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0

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