【森本防衛相“原発安保論”】事故処理が進まない中で、原発の技術を軍事に転用する可能性に触れる無神経さ<47トピックス

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【森本防衛相“原発安保論”】事故処理が進まない中で、原発の技術を軍事に転用する可能性に触れる無神経さ

http://www.47news.jp/47topics/e/234335.php

2012/09/08 10:35

【デーリー東北】<天鐘>
■「己を実現する為の、最も現実的な保障なり根拠なりを原子爆弾の数の上に置いている」古代中国の漢字の成り立ちを見れば、最初の字形が怖いものがある。実は、民主主義の主役である「民」もその一つ。現在使っている漢字は、当時の社会状況などを伝える

▼民は目を矢で突かれている。だから、視力を失った奴隷を表すようになった(高橋政巳・伊東ひとみ著『漢字の気持ち』新潮文庫)。周りが見えなければ、ないものと勘違いしかねない。適切な判断は困難だろう

森本敏防衛相は、就任前の今年1月“原発安保論”を打ち上げた。小紙で報じた。原発は周辺国に「大事な抑止的な機能を果たしている」と発言。核兵器開発の潜在的な能力は、国防上のメリットとの考えらしい

▼目を傷付けられた民ではなくても、重大事が国民の注目から遠ざけられれば、全く気付かない。今回の下心が好例だろう。もともと日本は非核三原則で、平和目的に限った原子力利用もうたっているのに、である

東日本大震災に伴う原発事故では「安全神話」に寄り掛かった防災対策の甘さが露呈。さらに事故処理が進まない中で、原発の技術を軍事に転用する可能性に触れる無神経さは、二重に国民を傷付けたに違いない………(2012年9月8日)<記事全文>


【デーリー東北】
 きょうの天鐘
http://www.47news.jp/47topics/e/234335.php
http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/jiten/tensyo/todayten.htm

(全文引用)

 

 きょうの天鐘

●天鐘(2012/09/08掲載)

 古代中国の漢字の成り立ちを見れば、最初の字形が怖いものがある。実は、民主主義の主役である「民」もその一つ。現在使っている漢字は、当時の社会状況 などを伝える▼民は目を矢で突かれている。だから、視力を失った奴隷を表すようになった(高橋政巳・伊東ひとみ著『漢字の気持ち』新潮文庫)。周りが見え なければ、ないものと勘違いしかねない。適切な判断は困難だろう▼森本敏防衛相は、就任前の今年1月“原発安保論”を打ち上げた。小紙で報じた。原発は周 辺国に「大事な抑止的な機能を果たしている」と発言。核兵器開発の潜在的な能力は、国防上のメリットとの考えらしい▼目を傷付けられた民ではなくても、重 大事が国民の注目から遠ざけられれば、全く気付かない。今回の下心が好例だろう。もともと日本は非核三原則で、平和目的に限った原子力利用もうたっている のに、である▼東日本大震災に伴う原発事故では「安全神話」に寄り掛かった防災対策の甘さが露呈。さらに事故処理が進まない中で、原発の技術を軍事に転用 する可能性に触れる無神経さは、二重に国民を傷付けたに違いない▼評論家小林秀雄は著書で「己を実現する為の、最も現実的な保障なり根拠なりを原子爆弾の 数の上に置いている」と書いた。己を平和にすれば、森本発言の危うさがのぞく。政府が近く示すエネルギー・環境戦略では、国民の目から遠ざけられたものが ないか心配だ。

 

 

 

(ブログ)福島原発事故と放射能汚染 そしてチェルノブイリ地方の現状