九電も東日本から電力融通検討 今夏、原発再稼働確定せず<日経新聞 2014年 4月>

※以前(原発事故前)は、電気の周波数の違いを理由に、東日本から西日本へ(またはその逆)は、電気の融通は出来ないと言っていました。

商用電源周波数 - Wikipedia

周 波数を変換する設備が貧弱だったのです。その後も、設備増強には多額の資金が必要で無理だと言うような言い訳をしていました。しかし電力の融通の必要に迫 られ、いつの間にか設備が増強されたようです。やれば出来ることを、出来ないと言い訳してお茶を濁す典型例のような話です。

 

原発の安全対策にしても同じです。費用がかかると言う、それだけの理由で手抜きしてきました。政府にしても同じです。IAEAなどから、過酷事故対策の強化を事故前に求められていました。「日本の原発技術は優秀である」と強弁して、これも怠ってきました。

 

※更に驚くのは、このような安全対策や過酷事故対策を全部、電力会社の責任で行うことになっていたことです。東電を当時の民主党政府が倒産させることが出来なかったのは、これが一番の理由でしょう。政府には、過酷事故に対応する組織も人員も資機材もありませんでした。

 

その電力会社にしても、原発を運転して電力を生産することは出来ます。しかし、保守や営繕はほぼ全部、下請けの重電メーカーに丸投げ状態です。原子炉の専門家など東電(電力会社)にはいません。

 

※もっと驚くことがあります。福島第1原発事故発生後、日本政府はアメリカ政府に対して原子炉の設計図面を請求しました。アメリカ政府は、安全上の理由により断ったとの記事を2011年に読んだ記憶があります。

 

何故??こうなっているのか??

福島第1原発が導入された当時は、日本の重電メーカーには、原発の技術はありませんでした。または、非常に貧弱でした。電力会社は、それを知っていました。そのため、アメリカのGE社にフルターン・キー方式で原発建設を発注したのです。

フルターンキー契約(ターンキー契約)|NEXI - 日本貿易保険

つまり、原発の建設から試運転までをアメリカのGE社が全部請け負って建設されたのが福島第1原発1号機です。何故??海抜10メートルに福島第1原発が建設されているのか??

こ れもフルターン・キー方式が、理由です。当時のアメリカのGE社のポンプの能力が10メートルしかなかったので、それに原発敷地の高さを合わせたのです。 本来の地形は、もっと高くそれを削って海抜10メートルにしたのです。それ以上の能力のポンプを設置するとオプション契約となり価格が高くなります。価格 を低く抑えるために、オプション契約を避けた結果が海抜10メートルの高さを生んだ理由です。

 

※更に当時に事情を挙げて見ます。

当 時は、高度経済成長の只中にありました。電力の大量安定供給が電力会社の求められました。当時の大容量発電は、石炭火力か原発しかありませんでした。最初 は、イギリスの原発を試験的に導入しました。これが大失敗で故障続きで、費用は当初予算を大幅に上回りました。そのため電力会社は原発の導入に消極的でし た。

 

そのときに、アメリカのGE社がマークⅠ型原発を開発して日本に売り込みました。性能がイギリス式に比較して向上しており、価格も石炭火力より優位にありました。

 

このような時代背景が、原発導入当時はありました。しかし、時の政府はなぜか、イギリスからの原発導入にこだわったようです。政府の意向に逆らって、アメリカから原発を導入したため、本来あるべき政府の補助はありませんでした。原子力関連予算は、既にありました。

 

※ 政府の意向に逆らった電力会社に嫌がらせするように、原子力関連予算は重水炉の開発や高速増殖炉の開発に振り向けられました。それが現時まで続き、核サイ クルとなっているのです。核サイクルとは、原子力関連予算の消化のために始められた事業の延長なのです。予算を消化するための事業ですから、無駄でダメと 知りつつずるずると継続してしまうのです。

※現在の電力業界と政府・行政の関係を見るなら信じられませんがこのような事情があるのです。電 力業界と政府の「手打ち」が行われたのは、田中角栄総理大臣と中曽根康弘通産大臣の時代だと思われます。この時代に「電源三法」が作られ、電力会社に有利 な状況が生まれました。その延長線上に、現在の電力業界が日本の社会を支配する構図が生まれました。

 

もっと書きたいですが、今日はこれでお仕舞い??

 

 

日本経済新聞
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九電も東日本から電力融通検討 今夏、原発再稼働確定せず
2014/4/4 12:30
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFB0400S_U4A400C1EAF000/

▼全文転載

 九州電力は今夏の電力需要に対応するため、東日本管内の電力会社から供給を受ける検討を始めた。昨夏動いていた関西電力大飯原子力発電所福井県 おおい町)の稼働が見込めず、これまで需給を調整していた中部・西日本エリアでの供給力が減るため。周波数の違う東日本からの供給を計画に織り込めば、東 日本大震災後初めてとなる。経済産業省が開く電力需給検証小委員会で議論する。

 経産省は電力の安定供給のため、確実に供給力に計上できる ものを計画として提出するよう求める。九電川内原発鹿児島県薩摩川内市)は原子力規制委員会が優先的に審査しているが、再稼働時期が確定しないため、 夏の供給計画には織り込めない見通し。38万キロワットを調達していたJパワーの松浦火力発電所長崎県松浦市)2号機も事故で長期間運転できない可能性 がある。

 国内の全原発が停止し、各電力会社は供給力の確保に苦戦。関電も東日本からの融通を検討している。昨年夏は動いていた大飯3.4号機の供給分(236万キロワット)を周波数の同じ中部や西日本管内でまかなうには限界があるためだ。

 九電は2012年2月に新大分火力発電所大分市)が液化天然ガス(LNG)配管の凍結で停止し、東電から最大50万キロワットを受電したことがある。その際は対応が後手に回ったため、あらかじめ計画に盛り込むことで安定供給につなげる狙いだ。

 

日本経済新聞

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