一流は排除、仲間としか仕事をしない 「子ども病」にかかった組織の大人げない行動<DIAMOND online 2014年2月 >

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一流は排除、仲間としか仕事をしない
「子ども病」にかかった組織の大人げない行動
【第1回】 2014年2月26日
秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
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☆一部転載

 

「昔取った杵柄病」「ライバルにとられたくない病」
子ども組織のさまざまな病状

 日本の会社組織はさまざまな病気に蝕まれています。拙著『「一体感」が会社を潰す 異質と一流を排除する<子ども病>の正体』では例として15ほどの症状を紹介し、「子ども病」という名前で総称しました。

 いくつか例を挙げると「仲間としか仕事をしない人たちの組織」、「全体最適よりも個別最適を優先する組織」、「一流が排除される組織」等々。実は紙幅の関係で15にとどめただけで、いろいろな症状の病気がたくさんあります。

 最近目立つ病気としては、たとえば「昔取った杵柄病」。これは過去に実績のある経営幹部が現場に介在し、時代遅れの戦術を「これが王道だ!」と強制し、現場の担当者を疲弊させて、成果も上がらない状況になっているという病気です。

 幹部自身が「経営とは何をすることか」が理解できていないので、ついつい自分が得意だと思い込み、愛着のある現場のことに口出しするのですが、彼らが成功していた時とは、時代の空気や事業環境も大きく異なっていることをまったく理解していません。

 結果としても連戦連敗となるのですが、その原因が自分にあるとも知らず、あいかわらず過去のやり方を「“正しく”行え!」と現場に介入を続けてき ます。いわゆる“老害”ともいえますが、自分自身の役割の規定や行動に対する客観的な視点がなく、結果に対する検証もまったくできないという点で非常に幼 稚といえます。

 「ライバルにとられたくない病」という病気もあります。これはM&A市場に会社の売り物が出た際に、形式上は精査するものの自社の戦略と マッチしているかどうかをしっかりと検証することなく、ライバル企業にとられたくないというだけの理由で高いお金を払ってM&Aを行うケースで す。

 場合によっては、買う会社が持つ技術も販路も自社ですでに持っていることだってあります。一見良さそうに見えるものが眼の前に流れてきたときに、 他人にとられたくないというだけの理由で、現場が汗水たらして集めたお金をドーンと投資してしまうのですから、大人のやることとは到底思えません。

 こんな風に、子どもっぽい症状を示す様々な病気はいくらでもあります。

(2)http://diamond.jp/articles/-/49306?page=2

組織全体がダメになると
自分もダメになる個人

 私は四半世紀にわたり、さまざまな規模や業種、社歴の会社で、経営改革やリスク管理体制の構築を実務的にお手伝いしてきました。普通のコンサルタ ントとは異なり、顧客企業の内部に自分のデスクを置いてもらい、そこの社員や組織がどのように動いているのかを目の前で見て、同時に自分自身も当事者とし て動き、組織のうねりに巻き込まれる体験をしてきました。

 その中で見てきたものは、自立と自律ができていない個人と、ムードに支配されている組織です。先ほどもご紹介したように、これを「子ども病」という言い方で総称しています。

 日本においては、今でこそ、「モチベーションアップ」が大事などとよく言われるようになりましたが、それは90年代以降のことで、以前は「モラー ルアップ」が大事だという言い方がなされていました。個人に焦点を当てた「モチベーション」ではなく、集団の士気モラール」をより重要視してきたので す。

 ところが、成果主義の時代に入り、昇進や給与で明確に個人間の差をつけ始めると「みんなで力を合わせてがんばろう!」と大声では言いにくくなり、 モラール(集団)からモチベーション(個人)へのシフトが図られました。しかしながら、個人のモチベーションは、実際には相変わらず集団のモラールの状況 に大きく依存しています。

 本来、仕事の遂行に対して個人が持つ「モチベーション」は、社員が十分に自立かつ自律しておれば、内発的な動機によって支えられ、組織や集団からの影響からある程度独立して機能しても良いはずです。

 しかし実際には「うちの新商品ではダメだからモチベーションが下がる」、「おべんちゃらを言う奴ばかりが出世するからモチベーションが上がらな い」と多くの人が嘆いているように、外発的な要因に強く左右されているのです。そしてモラールは、ほぼ会社の業績に比例して動きます。業績が悪い中で士気 が高い組織など滅多にありません。

 要するに、組織全体がうまくいっていると自分もうまくいくが、全体がダメになると自分もダメになるというわけです。これは非常に子どもっぽい状況ではないでしょうか。

(3)http://diamond.jp/articles/-/49306?page=3

サッカー日本代表で孤立した中田、
孤立しなかった本田の違いとは?

(4)http://diamond.jp/articles/-/49306?page=4

 

 

なぜ日本企業の管理職の多くは
「変人」を組織から追い出そうとするのか
【第2回】 2014年3月5日
秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
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