国連「拉致は人道犯罪」 報告書 北朝鮮を非難<東京新聞 2014年2月18日>

東京新聞 TOKYO WEB
トップ >http://www.tokyo-np.co.jp/
国連「拉致は人道犯罪」 報告書 北朝鮮を非難
2014年2月18日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014021802000119.html
▼全文転載

 【ジュネーブ=共同】北朝鮮の人権状況を調べる国連調査委員会は十七日、日本人ら外国人拉致や公開処刑などの残虐行為を挙げ、北朝鮮が国家最高レ ベルによる「人道に対する罪」を犯していると厳しく非難する最終報告書を公表した。国連安全保障理事会に対し、北朝鮮の犯罪を裁くため、国際刑事裁判所 (ICC)への付託や、国連特別法廷の設置を勧告した。

 国連機関が北朝鮮の最高指導部による人道に対する罪を列挙し、国際的な審判を提起するのは異例。実際には、安保理常任理事国で拒否権を持つ中国が反対に回るとみられるため、北朝鮮が被告席に立たされる可能性はほぼないが、同国に対する国際的な圧力が強まるのは必至だ。

 調査委のカービー委員長(オーストラリア)は記者会見で「金正恩(キムジョンウン)第一書記自身も人道に対する罪への責任がある可能性がある。国際社会の対応を望む」と述べた。

 報告書は、北朝鮮で「国家の最高レベルの決定」により、「組織的で広範な人権侵害」が行われているとし、「人道に対する罪は同国政治制度の本質的な一部である」と断定。

 拷問や市民の迫害、公開処刑、外国人の拉致など数々の残虐行為を挙げ、「これほどの規模で人道に対する罪を働いている国家は現代世界で比類がない」と批判した。

 日本人らの拉致についても「これほど大規模な国家による外国人拉致は例を見ない」と指摘し、拉致被害者や家族への人権侵害は今も続いており「その苦痛は筆舌に尽くしがたい」と訴えた。

 その上で、「国際社会が北朝鮮国民を保護する責任」を強調。国連が、北朝鮮で人道に対する罪に関与した者の責任を追及すべきだとして、ICCへの付託国連特別法廷の設置を提起した。

 また、北朝鮮に対しては、拉致被害者が存命であれば居場所などの情報を家族や出身国に提供し、被害者らを速やかに出身国へ帰還させるよう勧告。死亡している場合も、遺骨などを出身国に返還するよう求めた。

◆最終報告書の骨子

北朝鮮では国家の最高レベルの決定で「人道に対する罪」が行われ、現在も続いている

▼過去五十年に数十万人の政治犯が収容所で死亡したと推計

▼一九六〇~八〇年代に日本など数百人の外国人が拉致され行方不明に。国家によるこれほど大規模な外国人拉致は他に例をみない

国連北朝鮮で人道に対する罪に関与した者の責任を追及すべきだ。安保理に、国際刑事裁判所(ICC)への付託勧告

北朝鮮に、生存する拉致被害者の出身国への帰還、死者の遺骨の返還を勧告  (共同)


東京新聞 TOKYO WEB トップ >http://www.tokyo-np.co.jp/

東京新聞:試読フォーム:東京新聞購読のご案内(TOKYO Web)

松尾貴史の東京新聞の楽しみ方|東京新聞ほっとWeb

北から南まで、地域密着の最新ニュースを! ニュースクリップ