ブラック企業9月一斉調査 ワタミに手は入るのか<日刊ゲンダイ>

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ブラック企業9月一斉調査 ワタミに手は入るのか
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2013年8月14日
▼全文転載
<労働Gメン3000人の実力>

 ブラック企業は戦々恐々ではないか。「過重労働重点監督月間」として、厚労省が9月に集中的に監督指導を実施するからだ。対象となるのは、「若者の離職率が高い」「極端な長時間労働を強制していることが疑われる」といった、いわゆるブラック企業。通称「労働Gメン」と呼ばれる労働基準監督官が取り締まりに当たる。

「監督指導する企業は4000社にのぼる予定です。ハローワーク利用者からの苦情や通報をもとにリストアップしました。臨検監督という“抜き打ち検査”で労務担当責任者にタイムカードなどの資料の提出を求め、法令違反があれば是正を勧告します。悪質な違反が確認された企業には強制捜査を行い、企業名を公表します」(厚労省労働基準局監督課)

 現場で監督指導にあたる労働基準監督官は全国に約3000人。監督官は警察官と同じく“捜査権”や“逮捕権”を持ち、事業所の捜索はもちろん、経営者を逮捕して検察庁に送検することができる。“麻薬Gメン”の麻薬取締官みたいな立場なのだ。

 彼らが本気になれば、ブラック企業の経営者を片っ端から逮捕できる。ブラック企業大賞に輝いた「ワタミ」にも手が入るかもしれない。ただし、障害もあるという。元監督官で労働衛生コンサルタントの村木宏吉氏がこう言う。

「逮捕権はあっても、実際に逮捕する監督官は少ない。なぜか。評価につながらないからです。労基署には達成すべき指導件数があり、監督官にはノルマが課せられます。しかし、逮捕となるとじっくり資料を読み込み、裏付けを取らなければなりません。そうなると時間がかかり指導件数が達成できなくなるリスクが生じます。だから捜査に熱心な監督官ほどヒラ職員のまま公務員人生を終えます」

 もうひとつは、せっかく監督官が悪質事業者を逮捕して送検しても、検察が起訴しないケースがあることだ。

 しかし、ブラック企業がこれだけ社会問題化しているのに、一社も摘発されず、悪徳経営者が逮捕されないのはおかしい。20代、30代の若者を酷使してボロ儲けしている経営者を放置してはいけない。

 安倍政権の本気度が試されそうだ。

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