北、中国も脅す!したたか“恫喝外交”の狙い ミサイル発射・核実験同時に…<zakzak>

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北、中国も脅す!したたか“恫喝外交”の狙い ミサイル発射・核実験同時に…
2013.03.09
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130309/frn1303091447004-n1.htm
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朝鮮半島の緊迫度が増してきた。北朝鮮の3度目の核実験を受け、国連安全保障理事会で制裁決議が採択されたが、北が猛反発しているのだ。「核による先制攻撃」など脅迫を繰り返す北の狙いは、米中から援助を引き出すことにある。専門家は「脅しの手段としてミサイル発射と核実験の同時実施もある」と指摘。北の核小型化は「日本を標的にしている」との見方も浮上するなど不穏な空気が漂っている。

 11日から始まる米韓軍事演習「キー・リゾルブ」をにらみ、北の軍幹部が、朝鮮戦争の休戦協定の効力を完全かつ全面的に白紙化すると表明した。さらに8日には、板門店の南北直通電話を直ちに断絶すると宣言。ホットラインを切るとも迫ってきた。

 北の一連の行為に対し、韓国軍合同参謀本部は、実際に挑発すれば「挑発の原点と支援勢力はもちろん、指揮勢力まで強力に反撃する」との声明を発表。韓国国防省報道官は8日、北が核先制攻撃の権利行使まで言及したことについて、「自由民主義体制があり、(人々が)幸福に暮らす韓国を核で攻撃したら、人類の意志により、金正恩政権は地球上から消滅するだろう」と怒りをあらわにした。軍事演習初日の11日が近づくにつれ、緊張感が増している。

 現時点で北が振り上げた拳を下ろす気配はない。むしろ、日本の防衛省関係者は「実は、各国の反発は織り込み済み」とし、「米国との直接交渉を実現して援助を引き出すのがねらい。ミサイル発射と、核の先制攻撃というよりは核実験を同時期に行う目算が立ったことから、強硬な態度を貫いているのではないか」と注視している。

 ミサイル発射と核実験が同じタイミングで実施されるだけでも周辺国が受けるショックは大きい。

 人民を飢えさせる国にそんな余裕はないはずだが、『国防の常識』(角川学芸出版)などの著書がある元航空自衛隊員の軍事ジャーナリスト、鍛冶俊樹氏は資金ルートについて、「2月の核実験にイランの科学者らが立ち会った際、イラン側から北に日本円で数十億円のカネが支払われたといわれる。北は多大なコストをイランから回収する“ビジネスモデル”を確立した。反米のイランにとって核は絶対に手に入れたい兵器なので支援は惜しまないだろう」と解説する。

 イランは欧米諸国からの経済制裁で苦しい立場にあるが、産油国のため一定の収入は確保している。北の兵器開発を支える程度の資金はあるというわけだ。

 北はいつ、ミサイル発射と核実験に踏み切るのか。11日からの米韓軍事演習を機会に暴発する可能性はゼロではないが、鍛冶氏は「金日成国家主席の誕生日にあたる4月15日前後が有力だ。昨年のミサイル発射実験はこの日に近い4月13日に行われ、失敗した。ミサイル、核の双方を一緒に成功させれば昨年の失敗を帳消しにでき、国内の結束力も高められる」と予測する。

 兵器開発を加速させ、さらに休戦協定の白紙化まで持ち出した背景には、中国との間に生じた溝がある。

 朝鮮半島情勢に詳しい現代コリア研究所の佐藤勝巳所長は「北朝鮮が中国の忠告を無視し続けたことで両国の関係が冷え込み、中国からの援助が期待できなくなった。そこで、休戦協定の白紙化を持ち出し『戦争するぞ』と中国を脅している。北と韓国が軍事衝突すれば、自動的に中国、米国は参戦しなければならず、両大国の全面戦争になる。中国はその事態を絶対に避けたい。中国の足元をみた北が『戦争』で脅し、援助を引き出そうとしている」とみている。

 イランという新たな資金源を得た上、米国と中国の双方から援助を受けようとする。「恫喝外交」の本家は極めてしたたかだ。

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