米告発番組が物議 リークされたTPP草案 売国の中身<日刊ゲンダイ>

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米告発番組が物議 リークされたTPP草案 売国の中身
2013年3月5日
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▼全文転載

ヤバイのはコメだけじゃない!
<「貿易自由化」は表向き、実質は米企業の“世界支配”>

 TPP参加に突っ走る安倍政権への批判が噴出しているが、新たにとんでもない事実が判明した。米国と参加国の“秘密交渉”で詰められていた「TPP草案」が外部に流出し、そのデタラメ実態が白日の下にさらされたのだ。

 問題のTPP草案は、米市民団体「パブリック・シチズン」がリーク情報をもとに告発したもの。米独立系放送局「デモクラシー・ナウ」の番組上で暴露された。その内容には驚きを通り越して、背筋が寒くなる。

 告発によると、草案は全26章から成るが、日本で議論になっているコメなど貿易関連のテーマはわずか2章のみ。残りは、いかにして米国企業に強大な権限を与え、各国の権限を奪い取るかに割かれているという。

地産地消、国産品愛好もダメ>

 市民団体のロリ・ウォラック氏は、〈TPPは1%が大多数の人々の生存権を奪うツールだ〉とこう告発している。
〈TPPは表向きは貿易協定ですが、実質は企業による“世界統治”です〉〈各国が国内法や司法を使って権利を守ろうとしても、企業は別建ての司法制度を持ち、お抱え弁護士たちがインチキ国際法廷に加盟国の政府を引きずり出し、無制限の賠償を命じる〉〈地域産業の優先を禁じ、地産地消や国産品の愛好は許されない。環境や人権に配慮する商品も提訴されかねません〉

 米企業は医薬品や種子の独占権を強化し、薬価をつり上げるため、後発医薬品ジェネリック薬品)の販売を阻止する案も画策。各国の金融規制を緩和し、高リスク金融商品を禁止できなくする、とも警告している。

 さらに、〈600人の企業顧問に草案へのアクセス権を与えながら、米上院貿易委員会も蚊帳の外。貿易協定という名の『企業の権利章典』の中身は見られない〉とも指摘。徹底した秘密交渉に加え、〈交渉内容は、締結後4年間は非公開という密約もあった〉というからムチャクチャだ。

 15分間の告発番組には、米テキサス企業協会の関係者がパーティーでスピーチをしている映像が流される。その内容も仰天で、「TPPは市民の意見におかまいなく、企業利益を最大にするものだ」と大ハシャギしているのである。

 安倍は、こんなインチキ協定にノコノコと参加しようとしているのだ。元外交官で評論家の天木直人氏がこう言う。

「このリーク情報は昨年の大統領選のときに公表されたものですが、これまで一切報道されてこなかった。参加国の国民に知れたら、ただでさえ交渉が難航しているTPPはますます糾弾される。だからオバマ政権が隠蔽し、米国民をもダマし続けてきたのです。日本は交渉のテーブルに着いたが最後、あらゆる市場を開放させられ、経済は崩壊し、国民の食も健康も米国に支配されてしまうでしょう。逆らえば、米企業が法外な賠償金を求めて訴えてくる。国はひとたまりもありません。当然、日本政府と役人はすべてを知っているはずですが、日米安保条約の密約と同じでヒタ隠しにしているのです」

 野党は4日の代表質問で、「TPP参加は国民を欺く『安倍トリック』だ」とか批判していたが、論より証拠だ。このデタラメ草案と告発番組を国会で取り上げ、安倍政権を徹底的に追及すべきだ。

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★関連動画
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「アメリカ市民団体がTPPについて報道した驚異の内容とは」
http://www.youtube.com/watch?v=HLVKAalmD48&feature=youtu.be