消費増税は日本版「財政の崖」デフレ脱却が増税の大前提{zakzak}

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消費増税は日本版「財政の崖」デフレ脱却が増税の大前提
連載:「日本」の解き方
2013.01.13
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130113/dms1301130710000-n1.htm
▼全文引用

 昨年末の新聞紙上をにぎわしていたものとして米国の「財政の崖」があった。大型減税(いわゆるブッシュ減税)の失効や、債務上限が問題になった際に約束した強制的な歳出削減が集中し、実質的増税歳出削減のダブルパンチで崖から落下するような急激な緊縮財政が起こるかもしれなかったのだ。幸いなことに、議会関係者の努力で最悪の事態は回避された。

 筆者は、日本でも特例公債法が成立しないと、それこそ日本版「財政の崖」が発生すると指摘してきたが、それも関係者の努力で未然に防げた。

 だが、財政の崖はマッチポンプのようだ。というのも、自然現象ではなく人間が勝手に作っているのだ。だから、考えてみればそれを人間が直せないはずがない。財政の崖を回避したことを「良くやった」と評価するのは、正直言えばちょっと躊躇する。

 次の日本の財政の崖は、消費税増税だ。2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられることが決められている。もっとも、その導入時期には含みもあるので、財政の崖を回避することはできる。

 名目成長率3%程度、実質成長率2%程度が展望できる状態であるか否かが政府としての努力目標になっているが、安倍晋三首相は自民党総裁選や先の衆院選でも、デフレ脱却を消費税増税の条件として訴えていた。消費税率を引き上げる半年前の今秋に判断するということで、その意味で4〜6月期の経済指標が注目されるだろう。この判断如何ではあるが、日本は財政の崖に自ら進んで落ちる恐れもある。

 最近出たIMF国際通貨基金)のブランシャール氏の論文では、緊縮財政の悪影響は従来考えられていたモノよりはるかに酷いという。ノーベル経済学賞受賞のクルーグマンプリンストン大教授も、緊縮財政の悪影響を従来から指摘してきた。

 ところが、2010年のギリシャ危機の時にも、緊縮財政すべしという誤った処方箋が取られた。欧州中央銀行総裁が、「緊縮財政が経済停滞を招くというのは間違っている」と、とんでもない発言をしたこともある。

 また、最近の英国経済をみても、その金融緩和は大胆で評価すべきであるが、緊縮財政にこだわった結果、金融緩和の効果を減殺しており、金融政策と財政政策を合わせたマクロ経済運営には必ずしも成功しているとはいいがたいようだ。

 日本の財政の崖を避けるのは、安倍首相が主張するように「デフレ脱却しなければ消費税増税しない」というのが一番正しい。デフレ脱却しない場合、財政出動してでも消費税増税をすることを政府の一部では狙っているようだが、それは微妙な選択肢だ。

 政権に返り咲いた自民党も、公共投資などの財政支出を政治的に求めているようだ。これでは一部公共事業関係のところには「崖」がないが、そのほかが「崖」になっている状態だといえる。それでいいのだろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一

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