生と死を分けたもの(復興にあたり、是非、お考えいただきたい事)2011年03月30日 06時05

 
(趣味人倶楽部の日記から)
生と死を分けたもの(復興にあたり、是非、お考えいただきたい事)2011年03月30日 06時05分




今回の地震・津波は広域に及び、未だ犠牲者の正確な数も分からず被害は、甚大でした。
 改めて、犠牲となられた方々に心より哀悼の意を申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 今回のテーマは、津波から自らの命を守った方と犠牲となられた方を分けたものは何だったのか? 今後、どのようにして津波災害から人命を守るべきなのか?です。
 私が説明するより事例を挙げた方が分かりやすいと思いますので、以下事例を挙げます。
☆事例1
チ リ地震を経験したことのある78歳お婆ちゃんは、地震後すぐに高台への避難を開始。80歳と82歳の二人のお友達(女性)を懸命に励まし・手助けしながら 高台に3人とも避難し、助かった。ここには、チリ地震地震津波の経験を生かし、4階建てほどの高さの避難場所が設置されていた。
☆事例2
車でご主人と避難していた奥さんは津波の迫り来るのを見て、車での避難はムリと判断。近くの一軒家の2階に避難して助かった。ご主人は車からの避難が遅れ犠牲になった。一軒家の家人である父親と娘さんは何故か1階から避難しなかったため犠牲になった。
☆事例3
5階建ての病院で5階に避難した医師と患者は助かった。4階まで津波に襲われ、4階より下にいた人は犠牲になった。
☆事例4
海岸近くに5階建ての共同住宅が有り、5階まで津波に襲われた。5階の屋上に人の避難した痕跡があり、5階屋上に避難した人は助かったと推定される。(取材クルーと調査のため同乗した岩手大の教授の乗ったヘリが現場に到着した時は、救助後だったらしい)
☆事例5
海沿いの集落があり、ここは地形的に防潮堤を造るなどハード的対策が取れなかったため、津波対策を、「地震後20分以内に全員高台に避難する」ことに決め、
高台への避難階段を多数設置、高台へのスロープを幾つか整備した(お年寄りをリヤカーで避難させるため)。
地震後、20分以内に高台に避難する訓練を繰り返し行った。
ほとんど(又は全員)、高台に避難して無事だった。
☆事例6
10メートルの防潮堤を造るなど、ほぼ考えられる限りのハード的津波対策を施していたが、津波が想定を超えていて町がほぼ全滅した。犠牲者多数。
☆事例7
町役場・防災拠点・拠点病院など重要施設で津波に襲われ、全半壊したケースがあった。

以上の事例から浮かび上がってくる事は2点あり
①避難を決断する判断の速かった人は助かり、遅かった人・避難しなかった人は犠牲になっている。
②避難する高台または場所の有った人は助かり、それが無かった人は犠牲になっている。
 上記を考え合わせ、今後の被災地復興に、是非、取り入れていただきたいアイデアが、有ります。

まず、ハード面。
 (イ)それは、海岸に近く高い場所のない地域には、人口・距離などを考えて人工の高台のような建造物を造って欲しい事です。もし、逃げる場所があったなら、助かった命はかなり有ったと推測するからです。
  具体的には、柱だけで上部の避難場所を支えるような建造物を造り、構造物の高さは、今回の津波を参考にすると20メートル以上必要ではないかと推測されま す。このような人工の避難場所を適宜の数だけ建設しておけば、距離的・時間的に地形的高台に避難できない人も、避難する事ができます。
 更に、上部建造物を複層式にすれば、避難所兼備蓄倉庫として活用できます。
 (ロ)役所・防災施設・備蓄倉庫・拠点病院など地域の重要施設は高台もしくは1階の高さを今回の津波の高さより高い位置に造る。多少の不便はあっても、重要施設が無事であれば、その後の活動をより速く開始できます。
 (ハ)衛星電話を備える。固定電話・携帯電話は地震後、ほぼ使用不能でした。
  (ニ)避難施設の備蓄品にマキ(薪)ストーブとその煙突を適当数、加える。薪は田舎では入手しやすい燃料であり、安価で長期間保存できる。廃材を燃料にす ることもできる。暖房用だけでなく煮炊きする熱源としても利用できる。全ての燃料を石油製品に頼るのは危険である事を、今回の災害は示しています。
 (ホ)照明器具として灯油(石油)ランプを備蓄しておく。夜、明かりがあれば、不安感も少しは和らぐと思うのです。又、夜間の活動の照明としても使えます。

次に、ソフト面。
(ヘ)避難訓練を定期的に行い、全ての住人が参加する。訓練を繰り返し、体で覚えるのは大切な事です。特に、子供を必ず参加させ小さい内から避難と避難場所・防災を教える。
(ト)学校教育の中で、地震・津波・避難・防災・災害の知識を教える。
(チ)大規模災害の様子、どのような被害・犠牲があったかなどを語り継ぎ(資料にするのも良いと思います)、災害の記憶を風化させない。
次号に続く。