【脱中国元年】野心むき出しの中国を封じ込め ASEAN重視の本質{zakzak}

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【脱中国元年】野心むき出しの中国を封じ込め ASEAN重視の本質 
★(3)
2013.02.21
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130221/frn1302210715000-n1.htm
▼全文転載

 

 オバマ米大統領は2年前から「対中囲い込み政策」への転換を示唆し、まずはオーストラリアの首都キャンベラへ飛んで、ギラード首相とダーウィン基地を一緒に視察した。米海兵隊の駐留予定基地で、アジアへの安全保障の濃厚な関与を宣言したのである。

 同時に、クリントン国務長官(当時)がミャンマーへ飛び、経済制裁を止めて大々的なてこ入れを約束した。ミャンマーは歓迎し、中国は慌てる。ベトナムには米空母が寄港し、アジア各国は米国の本格的アジア復帰を歓迎した。

 というのも、東シナ海から南シナ海は海洋覇権を求める中国の海と化け、「海洋の法の支配」が存在しなくなるところだったからだ。ASEAN(東南アジア諸国連合)は米国の変貌を喜び、次に日本の変化に期待する。

 イラクから撤退完了した米国はアフガニスタンからも2014年をめどに撤収し、次はアジア関与戦略が本格化する。補完の役目を日本が担うのだが、「辺野古」「オスプレイ」など前民主党政権がつくりだした日米関係悪化の材料はいつしか消えつつある。

 安倍晋三政権発足直後、麻生太郎副総理財務相ミャンマーに飛び、累積5000億円借款を事実上帳消しにしたうえで、新たに500億円を供与して工業団地などの建設協力を約束した。ミャンマーを経済影響下に置いてきた中国としては不愉快な出来事である。

  岸田文雄外相はフィリピンなどを訪問したが、同国に巡視船の供与を約束した。フィリピンは中国に領海を侵犯され、スカボロー岩礁の帰属をめぐって軍事的対 立を続けている。フィリピンはこうした文脈から「日本の防衛力拡大はアジアを安定させるので歓迎である」と、いの一番で支援声明を出した。

  安倍首相は訪米を前にベトナム、タイ、インドネシアを歴訪した。ベトナムには原子炉建設、新幹線建設への協力が確認された。インドネシアではユドヨノ大統 領と会見し、「価値観外交」を前面に出し「言論自由という価値観」「自由な市場」、そして「海洋の法の支配」などの5原則をうたった。

 これは日本外交の基本方針が中国を牽制しているばかりか、中国の全体主義路線や国家資本主義経済、海洋における覇権追求と対峙することを意味する。日中は明確に利益を異にして対立する構造が外交的に確認されたことを意味するのではないのか。

 世の中がめまぐるしく変貌し、企業も置いてきぼりされる前に「チャイナ・プラス・ワン」(=中国の他にも拠点)を早急に模索し始めた。米倉弘昌会長率いる日本経団連の訪問団はベトナム、ミャンマーに続いて、先週はカンボジアを訪問した。

 変化の大音響が聞こえてきた。

 ■宮崎正弘(みやざき・まさひろ)評 論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報 で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に「習近平が仕掛ける尖閣戦争」(並木書房)、 「現代中国『国盗り物語』 かくして『反日』は続く」(小学館101新書)。

■脱中国元年
 ⇒(2)いびつな「国強民衰」の中国経済 反日暴動で目が覚めた日本企業
 ⇒(1)英、独の中国擦り寄りと反日暴動の深い意味 複雑怪奇な世界情勢

 

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