私の視点:2012衆院選/1 4年託す吟味と覚悟を=論説委員長・倉重篤郎{毎日新聞}

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私の視点:2012衆院選/1 4年託す吟味と覚悟を=論説委員長・倉重篤郎
毎日新聞 2012年12月04日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/news/20121204ddm001010079000c.html
▼全文引用


 衆院選公示のきょう、私たちは、以下の3点で合意できないか。

 まずは、政治の重要性を再確認したい。困難な時代である。何よりもかつてのような経済成長の果実が得られない世界になっている。低成長、ゼロ成長下の分配は難しい。全体のパイが増えないのに誰もが既得権を主張し少しでも多く取ろうとするからだ。さまざまな対立も顕在化する。国家同士では、領土問題が緊張感を高め、国家内部では格差・世代間対立、増税の是非論が国論を割る。原発ゼロをめぐる対立も成長観とリンクしている。

 その意味で、今ほど政治がその役割を期待される時代はない。政治とは、対立する利害を、ある理念に沿って双方が結果的に納得する形で調整する技術である。民主主義の原則とルールに従い、条約と法で対立を緩和し問題を解決する。これは他が代替できない機能である。尖閣問題の平和的解決、成長と財政と社会保障、エネルギー政策の持続可能化。今回の主要争点のいずれも政治力のパワーアップを求めている。

 第二に、だからこそ選挙における1票を重視したい。政治は選挙で民意を吹き込んでもらうことによって正統性と活力を取り戻す。

 その選択の際にこころがけたいことがある。困難な時代だけに、有権者に対しておいしいことを言うのではなく、むしろ、痛みと負担、譲歩を求められる政党や党首が誰であるかを見極めたい。

 個別候補の人物チェックも欠かせない。過去の二つの選挙の反省から、いわゆるチルドレン選挙にならないよう、経歴だけでなく、政策の中身、実績も見たい。毎日新聞では、全候補者に25問に及ぶ政策アンケートを実施、その回答について都道府県版で詳細を紹介する。参考にしてほしい。

 第三に、選んだからには時間を与えたい。1年交代の首相では短すぎる。内政も外交も半端になる。せっかくのいい政策が与党内論議が集約できないまま実現には至らない。国益衝突の外交の場でも、短命の足元を見られまともに相手にされない。これが、この6年間、私たちが代償を払って得た教訓だ。

 選ぶ際は徹底的に吟味する。だが、選んだからには、選ばれた人たちが私たちの民意を元に作り上げるであろう政権についても、最低4年の政権担当期間を与えたい。もちろん白紙委任はしない。むしろ、政治には時間がかかる、だが、政治しか私たちを救ってくれるものはない、との私たちの覚悟と楽観を伝えるためである。
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