社説:衆院選・脱原発と再稼働 説得力ある工程表示せ{毎日新聞}

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社説:衆院選脱原発と再稼働 説得力ある工程表示せ
毎日新聞 2012年12月07日 02時31分
http://mainichi.jp/opinion/news/20121207k0000m070128000c.html
▼全文引用


 東京電力福島第1原発事故後初の総選挙である。節電の夏を2度経験して分かったのは、原発抜きでも電力供給はできるということだ。国民の生活や経済への影響はあるが、過酷事故の影響を考えれば原発新増設はあり得ず、原発を減らしていく以外に選択肢はないだろう。

 脱原発をどう進めるのか。各党は選挙戦で、具体的な道筋を提示する必要がある。中でも、原発再稼働への対応が当面の課題となるだろう。

 「卒原発」を掲げる日本未来の党の公約は大胆だ。直ちに稼働をゼロにし、10年以内に全原発廃炉にする。再生可能エネルギー普及で地域産業を育成し、雇用を拡大すると主張する。方向性は理解できるが、再生エネの拡大には一定の時間も費用もかかるはずで、具体性に欠ける。

 電気料金抑制を目的に、当初3年間は電力会社に交付国債を給付するというが、納税者につけを回すことにならないか。脱原発には痛みを伴うことも有権者に説明すべきだ。即時原発ゼロを掲げる他党も同じだ。

 民主党は「30年代に原発稼働ゼロを目指す」とする一方で、原子力規制委員会の安全性評価に従い、当面は再稼働を認める方針だ。

 私たちは、各原発のリスクを共通の指標でランク付けし、優先順位を付けて廃炉にすべきだと主張してきた。再稼働を認めるとしても、規制委の判断だけに頼ってしまえば、脱原発の流れに疑問符がつく。

 エネルギー政策を踏まえた上で、より安全度の高い原発を優先し、政府が責任を持って再稼働の是非を判断するのが筋だ。もちろん、過酷事故の発生を想定した防災体制の整備が済んでいることが大前提となる。

 戦後の原子力政策を主導してきた自民党は「10年以内に電源構成のベストミックスを確立する」と言う。福島原発事故が起きたことに対する反省はどこへいったのか。再稼働の安全性については、民主党同様、規制委の判断に委ねるというが、脱原発の方向性が見えない。

 日本維新の会は「先進国をリードする脱原発依存体制の構築」を掲げる。だが、再稼働をどう進めるのかわからない。既設の原発は「30年代までにフェードアウトする」と書き込んだ政策実例も、公約ではないという。自民もそうだが、脱原発の争点化を避けているようにもとれる。

 脱原発は、産業構造変革や安全保障体制の見直しにもつながる大問題だ。単に時期の早さを競ったり、争点化を避けるのではなく、有権者が吟味可能な、説得力ある工程表を示す政党はどこなのかを見極めたい。
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