社説 2012年8月11日 消費増税関連法成立 偽りの一体改革を憂う<琉球新報

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社説 2012年8月11日
消費増税関連法成立 偽りの一体改革を憂う
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(全文引用)

 消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革関連法が、国論を二分する中、10日の参院本会議で民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。
 社会保障改革の多くを棚上げ、先送りした「偽りの一体改革」だ。増税の是非以前の問題として、国民意思に背き、この国の民主政治に泥を塗る暴挙と言うほかない。
 国民の多くが増税関連法の今国会成立に反対し、解散・総選挙による審判を求めていた。にもかかわらず、3党は財政危機克服を大義名分とした「決められる政治」を優先し、消費増税に反対もしくは一体改革に懐疑的な、広範な民意を踏みにじった。その責任は重大だ。一日も早い衆院解散・総選挙で、国民に信を問うべきだ。
 増税関連法が施行されると、現行5%の消費税率は、2014年4月に8%、15年10月には10%へと2段階で引き上げられる。
 デフレ不況や国民生活の疲弊ぶりを見ると、この国が増税に耐えられるのか危惧する。国民が消費を手控え、増税効果以上に、急激な景気悪化の逆効果を招かないか。
 この国の借金が名目国内総生産(GDP)の2倍超の1千兆円に上ることや、3・11東日本大震災からの復興、福島原発事故の収束、放射能除染という国難に直面し、その克服に多額の財源を要することは国民も理解している。
 だからこそ無駄な歳出をカットし少ない財源を効果的に使い、財源確保のための成長戦略を打ち出してほしい、と期待を寄せてきた。しかし国民は今、期待に応え切れない政権や既成政党にしびれを切らし、失望の色を濃くしている。
 国民は「失われた20年」の間に深刻化した国内の産業空洞化に歯止めを掛け、雇用環境の再生を待ち望んでいる。国はなぜそれを打ち出さないのか。立ち遅れが指摘される再生可能エネルギー分野などへの投資や支援の拡大によって、なぜ新しい産業を積極的に創出しようとしないのか。
 将来世代に膨大な借金も、ゆがみ切った格差社会も、「負の遺産」として引き継いではならない。
 だからと言って「危機」を背景として国民を脅迫するかのように、増税を強要する政治手法は間違っている。社会保障の将来像や、成長戦略、歳出改革も含めた骨太な国家像を明確に描いてこそ、「真の一体改革」というべきだ。


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