AIJ投資顧問の浅川和彦社長(日刊ゲンダイ)

日刊ゲンダイ から全文引用
浅川の汚い犯罪を許した霞が関は悪の巣窟
2012年3月27日
http://gendai.net/articles/view/syakai/135858


7年間も“年金消滅”に目をつぶってきた役人
<野田政権の一体改革も疑惑>

 渦中の人物がついに国会に登場だ。年金資産2000億円をパーにしたAIJ投資顧問の浅川和彦社長(59)が27日午前、衆院財務金融委員会参考人として出席した。ずっと逃げ回っていた「希代の大悪党」が面前に顔をさらすのは今回が初めてだ。

 それにしても参考人質疑にこぎ着けたとはいえ、時間がかかり過ぎだ。証券取引等監視委員会(SEC)が金融商品取引法違反容疑でAIJの強制調査にやっと乗り出したのが先週23日。強制調査が最初に報じられたのは今月3日だから、実に20日間も野放し状態だったワケだ。SECが「詐欺」を視野に調査しているなら、なぜ、もっと早く踏み込まなかったのか。浅川社長が、すでに隠すものを隠し、弁護士たちと入念に打ち合わせ済みだったらどうする。参考人質疑では謝罪したものの、「ダマす気はなかった」と訴えた。詐欺を裏付ける証拠が出てこなければ、刑事告発さえ怪しくなる。そうなったらSECはどうオトシマエをつけるのか。
「今回の事件は、インチキ投資会社だけの問題ではありません。投資会社を監督する金融庁、基金を監督する厚労省もそろって“犯罪”行為を黙認してきた責任があります。SECには05年以降、AIJの運用実績を疑問視する情報が4件寄せられ、09年には年金情報誌がAIJの“怪しさ”を指摘した。それなのに金融庁は何の手も打てなかった。職務怠慢です」(経済ジャーナリスト)
 SECが立ち入り検査に入った今年1月以降も、浅川社長は平然と営業を続けていた。SECが完全に甘く見られ、ナメられている証拠だ。しかも、詐欺まがいの営業の“片棒”を担いでいたのが旧社保庁OBというからマンガだ。
「AIJが営業に利用したのが、基金の天下りネットワーク。それは、AIJに資金を委託していた74の厚生年金基金のうち、47基金に厚労省や旧社保庁OBなど49人も天下りをしていた実態から分かる。『年金のプロ』がお墨付きを与えるなら資産を委託しよう――と考えた基金もあったでしょう」(厚労省担当記者)
 基金を監督する厚労省は今月の21日になって、各基金に資産保全手続きの要請文書を出したが、内容は噴飯モノ。手続きが遅れると基金幹部の責任問題になりかねない――と迫っているのだ。問題発覚から1カ月も知らん顔していたクセに何を言っているのか。チンタラやっている理由は何なのか。元共同通信記者でジャーナリストの北沢栄氏はこう言う。
「私の調査では、厚生年金の代行部分は約23兆円あり、それが天下り先などの“利権”に使われてきた。役所はAIJ問題でその実態が表面化するのを恐れているのではないか。調査が進まない原因のひとつだと思います。金融庁にしても、厚労省が『調査中』と言えば、簡単に手は出せないのでしょう」

 厚労省といい、金融庁といい、霞が関官僚はいつも裏に隠れ、決して矢面に立つことはしない。本当にタチが悪い悪党たちだ。今回だけは、この連中を許しちゃいけない。まず投資顧問業のデタラメを許した規制緩和派の竹中平蔵や、法案を成立させた安倍内閣の金融担当相を筆頭に、歴代の社保庁長官と天下りOB、金融庁とSECの投資顧問担当者、厚労省の年金担当者などを全員調べ上げ、逮捕して厳しく処罰しないとウソだ。国会と大マスコミは、これからが本番なのである。
 ましてや、この薄汚れた連中が中心になって進めようとしているのが野田増税政権の「社会保障の一体改革」でもある。マトモな改革なんて実現しないのは火を見るより明らかだし、国民の税金と年金保険料がいいように食われ、天下り焼け太りに悪用されるのがオチだ。
 腐った土台の上に家を新築させたら、また国民はバカを見るだけである。