【函館市の提訴】原発周辺の「声」も重い<高知新聞 2014年04月>

高知新聞
ホーム>http://www.kochinews.co.jp/

函館市の提訴】原発周辺の「声」も重い
2014年04月05日08時00分
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=318227&nwIW=1&nwVt=knd
▼全文転載

 福島第1原発事故では周辺の多くの住民が避難を強いられた。その状況を考えれば、市民を守るために北海道函館市が提訴したのは自然なことだ。
 電源開発(Jパワー)が青森県大間町に建設中の大間原発をめぐり、函館市は国や同社に建設中止などを求める訴えを東京地裁に起こした。
 函館市は、津軽海峡を挟んで大間原発から最短で約23キロ北に位置する。福島のような過酷事故が起これば、住民避難に加え、水産や観光業など主要産業は大打撃を受ける。市民生活の崩壊は容易に想像できる。
 にもかかわらず、原発立地自治体でないため建設時の意思決定に参加できなかった。工藤寿樹・函館市長は原発事故後、建設凍結を国などに求めてきたが、聞き入れられなかったために自治体初の差し止め訴訟に踏み切った。
 全国には函館市と同じような状況に置かれてきた自治体は少なくない。原発立地自治体と同じリスクを背負わされながら、肝心な意思決定は「蚊帳の外」。これで首長は住民の命と安全に責任を持てるだろうか。
 今回の提訴で重要なポイントは、函館市のように原発から半径30キロ圏内の自治体も原発建設の同意対象とするよう求めた点だ。
 福島の事故後、政府は住民の避難計画作りを自治体に義務付ける範囲を30キロ圏まで拡大した。万が一に備えた事前対策が求められるのであれば、原発建設に自治体として意見が言えて当然だろう。
 しかし、同意を求められるのは立地自治体とその都道府県で、事故前と何ら変わらない。函館市が手続き変更を求めるのももっともだ。
 一方、今後の裁判で国やJパワーは函館市には提訴する資格がないと主張し、裁判所に訴えを門前払いさせる作戦に出る可能性も指摘されている。
 そうなれば函館市を含めて原発周辺自治体の住民は納得しないだろう。再稼働でも同じ問題があり、函館市や国が意見を述べ合うことが、原発の在り方を国民に問うことになる。
 異例の提訴は函館市議会が全会一致で決定し、工藤市長は「声を上げないのは原発で何が起きても泣き寝入りするということ」と取材に述べている。
 再稼働問題も絡み、提訴の行方に多くの国民が関心を持っている。原発周辺の住民の「声」を、司法がどう判断するのか注目したい。


高知新聞 >http://www.kochinews.co.jp/

高知新聞購読のご案内

 

 

※関連記事

ロイター

大間原発の建設中止求め提訴
2014年 04月 3日 20:22
http://jp.reuters.com/article/kyodoNationalNews/idJP2014040301001545

静岡知事、プルサーマル「白紙」 核燃サイクルの先行き懸念<47NEWS 2014年 04月>

47NEWS
トップ >http://www.47news.jp/

静岡知事、プルサーマル「白紙」 核燃サイクルの先行き懸念
2014/04/03 02:00   【共同通信
http://www.47news.jp/CN/201404/CN2014040201001608.html
▼全文転載

  中部電力浜岡原発がある静岡県の川勝平太知事は2日までに共同通信のインタビューに応じ、使用済み核燃料を再処 理して取り出したプルトニウムをウランとの混合酸化物(MOX)燃料にして原発で使うプルサーマル計画は「白紙だ」と明言し、過去に県が同意した浜岡4号 機での実施計画は容認できないと表明した。

 知事は福島の原発事故以来、プルサーマル導入を見直す考えを示してきたが、前知事が了承した計画の白紙化に言及したのは初めて。プルサーマル計画を原発事故前に受け入れていた他の自治体の判断にも今後、影響を与える可能性がある。


47NEWS 
共同通信
iPhoneアプリ(無料)
Androidアプリ(無料)

NHK会長「1人の行為で信頼全て崩壊」 入局式で訓示<朝日新聞 2014年4月>

朝日新聞
ホーム>http://www.asahi.com/
NHK会長「1人の行為で信頼全て崩壊」 入局式で訓示
2014年4月1日20時23分
http://www.asahi.com/articles/ASG416FF4G41UCVL034.html

▼全文転載

 就任会見での政治的中立性を疑われる発言が問題になっているNHKの籾井勝人会長は1日、新入局員の入局式での講話で、「(就任)初日に記者会見を行った際、質問に答えて個人的な意見を言い、大きく報道されました。入局前の皆さんには、ご心配をかけたことと思います。たいへん申し訳ありません」と話し、謝罪した。

 その後、NHKが受信料に よって成り立っていることに触れ、「職員全員が信頼や期待を積み重ねていったとしても、たった1人の行為がNHKに対する信頼のすべてを崩壊させることも あります。自らの行為の、NHKや日本の社会に与える影響や責任の重さは、昨日までとは全く違うことを、しっかりと自覚していただきたいと思います」と話 した。

 

朝日新聞

朝日新聞の購読お申し込み

朝日新聞出版 最新刊行物

朝日新聞デジタル 総合ガイド

国民投票の投票権、18歳以上に 今国会で法改正案成立へ <HuffPost Japan>

HuffPost Japan
TOP >http://www.huffingtonpost.jp/
国民投票の投票権、18歳以上に 今国会で法改正案成立へ
朝日新聞デジタル  |  執筆者: 朝日新聞社提供
更新: 2014年04月04日 11時21分
http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/03/public-vote_n_5088072.html?utm_hp_ref=japan-politics

九電も東日本から電力融通検討 今夏、原発再稼働確定せず<日経新聞 2014年 4月>

※以前(原発事故前)は、電気の周波数の違いを理由に、東日本から西日本へ(またはその逆)は、電気の融通は出来ないと言っていました。

商用電源周波数 - Wikipedia

周 波数を変換する設備が貧弱だったのです。その後も、設備増強には多額の資金が必要で無理だと言うような言い訳をしていました。しかし電力の融通の必要に迫 られ、いつの間にか設備が増強されたようです。やれば出来ることを、出来ないと言い訳してお茶を濁す典型例のような話です。

 

原発の安全対策にしても同じです。費用がかかると言う、それだけの理由で手抜きしてきました。政府にしても同じです。IAEAなどから、過酷事故対策の強化を事故前に求められていました。「日本の原発技術は優秀である」と強弁して、これも怠ってきました。

 

※更に驚くのは、このような安全対策や過酷事故対策を全部、電力会社の責任で行うことになっていたことです。東電を当時の民主党政府が倒産させることが出来なかったのは、これが一番の理由でしょう。政府には、過酷事故に対応する組織も人員も資機材もありませんでした。

 

その電力会社にしても、原発を運転して電力を生産することは出来ます。しかし、保守や営繕はほぼ全部、下請けの重電メーカーに丸投げ状態です。原子炉の専門家など東電(電力会社)にはいません。

 

※もっと驚くことがあります。福島第1原発事故発生後、日本政府はアメリカ政府に対して原子炉の設計図面を請求しました。アメリカ政府は、安全上の理由により断ったとの記事を2011年に読んだ記憶があります。

 

何故??こうなっているのか??

福島第1原発が導入された当時は、日本の重電メーカーには、原発の技術はありませんでした。または、非常に貧弱でした。電力会社は、それを知っていました。そのため、アメリカのGE社にフルターン・キー方式で原発建設を発注したのです。

フルターンキー契約(ターンキー契約)|NEXI - 日本貿易保険

つまり、原発の建設から試運転までをアメリカのGE社が全部請け負って建設されたのが福島第1原発1号機です。何故??海抜10メートルに福島第1原発が建設されているのか??

こ れもフルターン・キー方式が、理由です。当時のアメリカのGE社のポンプの能力が10メートルしかなかったので、それに原発敷地の高さを合わせたのです。 本来の地形は、もっと高くそれを削って海抜10メートルにしたのです。それ以上の能力のポンプを設置するとオプション契約となり価格が高くなります。価格 を低く抑えるために、オプション契約を避けた結果が海抜10メートルの高さを生んだ理由です。

 

※更に当時に事情を挙げて見ます。

当 時は、高度経済成長の只中にありました。電力の大量安定供給が電力会社の求められました。当時の大容量発電は、石炭火力か原発しかありませんでした。最初 は、イギリスの原発を試験的に導入しました。これが大失敗で故障続きで、費用は当初予算を大幅に上回りました。そのため電力会社は原発の導入に消極的でし た。

 

そのときに、アメリカのGE社がマークⅠ型原発を開発して日本に売り込みました。性能がイギリス式に比較して向上しており、価格も石炭火力より優位にありました。

 

このような時代背景が、原発導入当時はありました。しかし、時の政府はなぜか、イギリスからの原発導入にこだわったようです。政府の意向に逆らって、アメリカから原発を導入したため、本来あるべき政府の補助はありませんでした。原子力関連予算は、既にありました。

 

※ 政府の意向に逆らった電力会社に嫌がらせするように、原子力関連予算は重水炉の開発や高速増殖炉の開発に振り向けられました。それが現時まで続き、核サイ クルとなっているのです。核サイクルとは、原子力関連予算の消化のために始められた事業の延長なのです。予算を消化するための事業ですから、無駄でダメと 知りつつずるずると継続してしまうのです。

※現在の電力業界と政府・行政の関係を見るなら信じられませんがこのような事情があるのです。電 力業界と政府の「手打ち」が行われたのは、田中角栄総理大臣と中曽根康弘通産大臣の時代だと思われます。この時代に「電源三法」が作られ、電力会社に有利 な状況が生まれました。その延長線上に、現在の電力業界が日本の社会を支配する構図が生まれました。

 

もっと書きたいですが、今日はこれでお仕舞い??

 

 

日本経済新聞
トップ >http://www.nikkei.com/

九電も東日本から電力融通検討 今夏、原発再稼働確定せず
2014/4/4 12:30
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFB0400S_U4A400C1EAF000/

▼全文転載

 九州電力は今夏の電力需要に対応するため、東日本管内の電力会社から供給を受ける検討を始めた。昨夏動いていた関西電力大飯原子力発電所福井県 おおい町)の稼働が見込めず、これまで需給を調整していた中部・西日本エリアでの供給力が減るため。周波数の違う東日本からの供給を計画に織り込めば、東 日本大震災後初めてとなる。経済産業省が開く電力需給検証小委員会で議論する。

 経産省は電力の安定供給のため、確実に供給力に計上できる ものを計画として提出するよう求める。九電川内原発鹿児島県薩摩川内市)は原子力規制委員会が優先的に審査しているが、再稼働時期が確定しないため、 夏の供給計画には織り込めない見通し。38万キロワットを調達していたJパワーの松浦火力発電所長崎県松浦市)2号機も事故で長期間運転できない可能性 がある。

 国内の全原発が停止し、各電力会社は供給力の確保に苦戦。関電も東日本からの融通を検討している。昨年夏は動いていた大飯3.4号機の供給分(236万キロワット)を周波数の同じ中部や西日本管内でまかなうには限界があるためだ。

 九電は2012年2月に新大分火力発電所大分市)が液化天然ガス(LNG)配管の凍結で停止し、東電から最大50万キロワットを受電したことがある。その際は対応が後手に回ったため、あらかじめ計画に盛り込むことで安定供給につなげる狙いだ。

 

日本経済新聞

電子版利用案内 :日本経済新聞

日本経済新聞ご購読・ご試読のお申し込み

日経ビジネスオンライン:総合トップ

トルコなどとの原子力協定、衆院が承認 原発輸出後押し<日経新聞 2014年 4月>

日本経済新聞
トップ >http://www.nikkei.com/

トルコなどとの原子力協定、衆院が承認 原発輸出後押し
2014/4/4 13:13
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL040L8_U4A400C1000000/
▼全文転載

 衆院は4日午後の本会議で、トルコやアラブ首長国連邦(UAE)への原子力発電所の輸出を可能にする原子力協定の承認案を自民党公明党民主党の賛成多数で可決し、参院に送付した。今国会での承認を目指す。

  原子力協定は平和利用に限って原子力に関する技術などを移転することを定めた国家間の約束で、原発を輸出する際の前提となる。安倍晋三政権は原発輸出を経 済成長戦略の柱の一つと位置付けており、これを後押しする狙い。民主党は政権担当時に原発輸出を進めたことを踏まえ、賛成した。

 

日本経済新聞

電子版利用案内 :日本経済新聞

日本経済新聞ご購読・ご試読のお申し込み

日経ビジネスオンライン:総合トップ

世界の技術集まる場所に=前福島第2所長、廃炉責任者に―東電<時事通信 2014年 4月>

時事通信
ホーム>http://www.jiji.com/

世界の技術集まる場所に=前福島第2所長、廃炉責任者に—東電
2014/04/04-13:10
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201404/2014040400466&g=soc
▼全文転載

 東京電力の増田尚宏常務執行役は4日、福島県楢葉町で記者会見した。福島第1原発廃炉作業を担う「福島第一廃炉推進カンパニー」の代表に1日付で就任 したことを受けて「福島第1を(事故の)後始末の場所と考えると魅力がない。世界の技術が集まる場所にしていかないといけない」と述べ、海外の専門家や国 際機関とも協力し、廃炉技術の研究開発に力を入れていく考えを示した。(2014/04/04-13:10)

時事ドットコム

3・11から3年 死者の声に耳傾けよ<東京新聞 2014年3月>

東京新聞 TOKYO WEB
トップ >http://www.tokyo-np.co.jp

3・11から3年 死者の声に耳傾けよ【社説】
2014年3月11日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014031102000161.html

▼全文転載

 津波の国に住みながら、われわれは、先人の経験を風化させてはいなかったか。大震災の悲しみを忘れず、未来に向けて死者の声に耳を傾けたい。

 故・吉村昭さんの著書「三陸海岸津波」(文春文庫)に、印象に残る一節がある。

 三陸海岸の羅賀(らが)(岩手県田野畑村)での出来事である。

 はるか眼下に海を望む丘の中腹に立つ民家。一八九六年の明治三陸津波を知る当時八十五歳の古老は、家の中に漂流物があふれていた、と振り返った。

◆風化する惨事の記憶

 その話を聞き、取材に同行していた田野畑村長が「ここまで津波が来たとすると…」と驚きの声をあげたというのである。

 この本が「海の壁」の原題で出版されたのは一九七〇年。その時すでに、地元でも、惨事の記憶は風化しつつあったのだろうか。

 文庫版のあとがきとして、吉村さんは、その羅賀で二〇〇一年に講演した際のエピソードを書き加えている。

 「話をしている間、奇妙な思いにとらわれた。耳をかたむけている方々のほとんどが、この沿岸を襲った津波について体験していないことに気づいたのである」

 明治の大津波では羅賀に五十メートルもある津波が押し寄せた、という話をしたところ、沿岸市町村から集まった人々の顔に驚きの色が浮かんだのだという。

 羅賀の高台には、明治の大津波で海岸から運ばれたと伝えられる巨石があった。一一年三月十一日の津波は、その「津波石」と集落を再びのみ込んだ。

 親も子もない。助けを求められても、立ち止まらずに逃げろ…。「津波てんでんこ」は、三陸の悲しくも重要な教訓である。

 「われわれは明治、昭和の大津波と同じことをしてしまった」と三年前を振り返ったのは、名古屋市で先月開かれたシンポジウムに招かれた岩手県釜石市の野田武則市長である。

 大きな揺れが収まって三十分ほど。いったん避難した後、家族の安否などを心配して自宅に戻った大勢の市民が津波にのみ込まれてしまった。「平時には冷酷に聞こえる『てんでんこ』だが、その教えは実に正しかった」

◆犠牲多かった市街地

 野田市長の率直な講演は示唆に富む。「犠牲者が多かったのは、沿岸部ではなく、海の存在を忘れがちな市街地だった」「防潮堤や防波堤は高くなるほど危ない。海が見えなくなるからだ」

 守るよりも、まず、迷わず逃げよ。平成の三陸津波の犠牲者が残した教訓も、結局は、明治、昭和と変わらぬ「てんでんこ」だったのではないか。国土強靱(きょうじん)化が海の脅威を視界から遮ることにつながるとすれば、このまま突き進んで大丈夫なのだろうか。

 よく知られるようになった岩手県宮古市重茂姉吉(おもえあねよし)地区の「高き住居は児孫の和楽/想(おも)へ惨禍の大津浪(おおつなみ)/此処(ここ)より下に家を建てるな」と刻まれた古い石碑。

 その地では、三年前の大津波で住宅被害が一戸もなかった。死者の声を風化させなかったことが後の人々を守った好例である。

 過去に繰り返された津波の被害や到達地点を伝える石碑や古文書は、紀伊半島沿岸部など南海トラフ巨大地震の大津波が予想される地域にも数多く残されている。

 同じように関東、東海地方でも、一七〇三年の元禄地震津波の犠牲者を供養する千葉県山武(さんむ)市の「百人塚」など、房総半島や伊豆半島にいくつもの津波碑が建てられている。

 先人たちが石に刻んで後世に残そうとしたメッセージを再確認する試みが、東日本大震災を機に、各地で始まっている。

 その土地で何が起きたのか。将来、何が起きうるのか。逃げるべき場所はどこか。よそから移り住んだ人にも、一時的に立ち寄る人にも、先人の経験を共有できるようにする工夫を歓迎したい。

 こうした津波碑は漢文など古い文体で書かれている上、物理的に風化していたり、こけむしていたりで判読の難しいものが多い。

◆巨大津波に備えよう

  例えば南海トラフ地震津波想定域にある三重県志摩市阿児(あご)町の「津波遺戒碑」。だれにでも分かるように、地元の自治会が内容説明の看板を 碑の隣に設置した。碑には、一八五四年の安政東海地震津波で百四十一戸が流失し、十一人が溺死した被害状況とともに「後世の人が地震に遭った際は、速や かに老人、子どもを連れて高台に逃げよ」と刻まれていた。

 人間は忘れるからこそ前進できるという考え方もあるが、東日本大震災で、また多くの犠牲者を出してしまった事実は重い。なぜ、命を救えなかったのか。悲しみを忘れることなく、死者の声にあらためて耳を傾けたい。

 

東京新聞 TOKYO WEB

東京新聞:東京新聞購読のご案内(TOKYO Web)

東京新聞:試読フォーム:東京新聞購読のご案内(TOKYO Web)

東京新聞:携帯情報サービス(TOKYO Web)

北から南まで、地域密着の最新ニュースを! ニュースクリップ

 

 

ブログ目次
☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

3・11から3年 みんなが闘っている<東京新聞 2014年3月>

東京新聞 TOKYO WEB
トップ >http://www.tokyo-np.co.jp

3・11から3年 みんなが闘っている【社説】
2014年3月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014031002000157.html

▼全文転載

 原発事故を抱えた町の再起がどれほど困難であるか。震災からの三年はそれを思い知らせる時間だった。闘う人々にずっと寄り添わなくてはならない。

 それは静かな時限爆弾のように胸底に沈み込み、あの戦争から七十年を経ても消えていなかった。

 福島県相馬市の診療所「メンタルクリニックなごみ」の精神科医、蟻塚(ありつか)亮二さん(66)は沖縄協同病院心療内科部長を務めていた二〇一〇年暮れ、長い診療経験にはない「奇妙な不眠」を訴える男性に立て続けに会った。

◆戦争の心の傷は70年も

 海外の論文を読みあさってみると、その不眠はアウシュビッツ収容所の生存者に見られた心的外傷後ストレス障害(PTSD)とそっくりだった。男性に聞くと、太平洋戦争末期の沖縄戦を生き延びた人だった。

 住民を巻き込んだ米国との激しい地上戦で、県民の四人に一人が犠牲になった沖縄の戦闘。その記憶は生き延びた者にとって深い心の傷となったのだ。

 二十年前からこの問題に取り組んできた元沖縄県立看護大教授、當山(とうやま)冨士子さん(66)と一緒に一昨年、沖縄戦を体験した高齢者四百人に調査をしたところ、PTSDを引き起こしかねない重度な心の傷を抱える人が四割もいた。

 蟻塚さんは不眠の高齢者を診ると、戦争の影響を疑うようになった。

 砲弾の雨の中を逃げた人、家族を失った人、住民が日本兵に殺されるのを目撃した人…。つらい記憶が長い年月の後に仕事を辞めたり、家族の死に遭うなどふとしたきっかけでよみがえる。

 夜中に何度も目覚め、パニックを起こしたりする。遺体の臭いを思い出すという人もいた。

◆沖縄の苦難に重なる

 戦後二十年たって行われた精神疾患に関する調査で、沖縄は本土に比べて統合失調症などを発症する割合が高かったというデータがある。

 それは戦争で負った心の傷が影響している。本土から切り離された米軍の統治下で、人権を踏みにじられながら貧困に苦しんだことや、今も続く基地と隣り合わせの生活など、つらい経験を重ねてきたことが発症のその引き金になった-。そう蟻塚さんはみている。

 沖縄の心の傷は原発事故で傷ついた福島の痛みに重なる。

 災害後の心のケアの重要性は阪神大震災新潟県中越地震などの教訓として残された。

 東日本大震災後に有志の手で開かれた診療所に昨春、蟻塚さんが所長として招かれたのも、沖縄での経験を頼られてのことだ。

 毎月五十人の新患を受け入れ、五百~六百人の患者を診る。一割に震災や原発事故による遅発性のPTSDがみられるという。

 震災の日、運転していた車ごと津波に流された男性は転がった消防車と、泥に埋まった人の姿がよみがえるようになった。眠れずイライラし、妻に怒ってばかりいた。

 放射能を浴びてしまったと恐れ、息子と一緒に県外避難している母親は、突然不安に襲われるパニック症状に苦しんでいた。

 PTSDだけでない。仮設住宅の生活が長引いてうつ状態やアルコール依存になる人も急増している。

 知らない人間関係の中で刹那的になり「死んでもいい」とふと思う人が目立っているそうだ。

 東日本大震災によって今も二十七万人が避難生活を送る。そのうちの十四万人を占める福島がとりわけ厳しいのは、放射能汚染からの回復や、将来の生活の見通しが立たないことだ。

 福島はまた、震災関連死が千六百七十一人を数える。地震津波で亡くなった直接死の千六百三人よりも多く、被災三県の半数を超えている。

 長い避難生活で体調を悪化させたり、各地を転々とするうちに治療が遅れたりしたせいである。

 自殺の多発も際立っている。

 福島から聞こえるのは悲鳴のようなシグナルだ。

フクシマを忘れない

 政府は低線量被ばくの問題から目を背けてきた。

 年間の被ばく線量について、一ミリシーベルトから二〇ミリシーベルトまで許容できると基準を緩め、原発周辺自治体への早期帰還を促そうとしている。東電も避難指示区域の見直しのたびに賠償を打ち切っている。見せ掛けの事故収束と復興を急いでいるようにしか思えない。

 政府や東電の不条理に遭っても、町の再建がどんなに困難であっても、人々は生き抜こうとしている。

 本土は戦後、基地の負担を押しつけられる沖縄の苦難を忘れてしまっていた。わたしたちは福島からの悲鳴に耳を傾ける。寄り添うことを忘れてはならない。

 

東京新聞 TOKYO WEB

東京新聞:東京新聞購読のご案内(TOKYO Web)

東京新聞:試読フォーム:東京新聞購読のご案内(TOKYO Web)

東京新聞:携帯情報サービス(TOKYO Web)

北から南まで、地域密着の最新ニュースを! ニュースクリップ

 

 

ブログ目次
☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

3・11から3年 まだ知らないフクシマ<東京新聞 2014年3月>

東京新聞 TOKYO WEB
トップ >http://www.tokyo-np.co.jp

3・11から3年 まだ知らないフクシマ【社説】
2014年3月9日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030902000146.html

▼全文転載

 過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる-。原発事故にも通ずるかもしれない。あれから三年。私たちは、福島原発事故を実はまだ知らない。

 忘却が神話を復活させるのか。

 政府のエネルギー基本計画案は原発をあらためて「重要なベースロード電源」と位置付けた。昼夜を問わず、一定量の電力供給を担う主要な発電設備のことをいう。

 一昨年の衆院選で掲げた脱原発依存の約束に目をつむり、3・11以前に戻したいという意味だ。

◆忘却とは少し違う

 「忘却というのは、ちょっと違うかな…」

 写真家の島田恵さんは、少しの間考え込んだ。核燃料サイクル施設が集中する青森県六ケ所村で十二年間生活し、変わっていく村の様子、変われない村の暮らしをつぶさに記録し続けたことがある。

 3・11の後、六ケ所と福島を結ぶ記録映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」を製作し、自主上映会を経て先月、東京・渋谷の映画館で初公開した。

 核燃料サイクルとは、原発で使用済みの核燃料を再利用する計画だ。エネルギー政策の根幹ともされてきた。

 核のごみが全国から集まる六ケ所村も、福島同様、国策に翻弄(ほんろう)されながら、都市の繁栄を支えてきた。いわば入り口と出口の関係だと、島田さんは考える。

 巨額の交付金と引き換えに推進派と反対派に分断された寒村は、列島の縮図にも映る。

 この三年、おびただしい活字と映像が、フクシマを伝えてきた。周囲から「公開のタイミングを外したのでは」と指摘されたこともある。

 それでもなお、映画を見た多くの人が「知らなかった」という感想を寄せてくる。

◆事故報告書は未完成

 私たちは福島をまだ知らない。

 福島原発事故がどれほど大きな事故だったのか。もし偶然の救いがなければ、どれほど巨大な事故になったか。国民として、もっと正しく知る必要があるだろう。

 国会事故調の調査期間は、実質約三カ月だったという。

 報告書は「破損した原子炉の現状は詳しくは判明しておらず、今後の地震、台風などの自然災害に果たして耐えられるのか分からない」などと、冒頭で未完成であることを吐露している。

 例えば、こんな事実もある。

 震災発生当日、福島第一原発4号機は定期点検中で、核燃料はすべて使用済み燃料の貯蔵プールに移されていた。

 プールの中では約千五百体の核燃料が高い崩壊熱を発しており、最も危険な状態だったとされている。放射線量が高く建屋の中に入ることは不可能だったと、作業員は語っている。

 燃料を冷やす手だてがなかったということだ。

 ところが、貯蔵プールの横にある「原子炉ウェル」と呼ばれる縦穴に、大量の水がたまっていた。

 津波地震の衝撃で仕切り板がずれ、そこから貯蔵プールに水が流れて冷やしてくれた。

 そして皮肉にも爆発で建屋の屋根が飛び、外部からの注水が可能になった。

 点検作業の不手際があり、四日前に抜き取られていたはずの水がそこに残されていた。もし“不手際”がなかったら-。私たちは幸運だったのだ。

 チェルノブイリ原発事故の原因について、当時のソ連当局は、規則違反の動作試験が行われたため、運転出力が急上昇したことによると発表した。

 しかし、事故から五年後、「主因は人為的なものではなく、原子炉の構造的な欠陥である」という内容の報告書をまとめている。

 米スリーマイル原発事故が起きたのは、作業員が誤って非常用冷却装置を止めてしまったからだと、調査の結果判明した。

 事故原因が解析され、判明し、防止策を講じた上で、原発は再び動き始めた。しかし、福島の場合はどうか。世界史にも例がない多重事故は極めて複雑だ。

 原因解明が不十分なまま再稼働だけを急いで、本当に大丈夫なのだろうか。根源的な疑問は、やっぱり残る。

◆無事故の保証ではない

 3・11以前への回帰を目指すエネルギー基本計画が、間もなく正式に決定される。

 政府は、積極的に再稼働を認める姿勢を隠さない。

  だが、原子力規制庁自身が明確に認めているように、世界一の規制基準とは、たとえそうであれ、無事故を保証するものではない。 地震国日本に、安 全な場所はない。なし崩しの再稼働を受け入れるか、受け入れないか。フクシマを知り、フクシマの今を踏まえて、決めるのは私たち自身である。

 

東京新聞 TOKYO WEB

東京新聞:東京新聞購読のご案内(TOKYO Web)

東京新聞:試読フォーム:東京新聞購読のご案内(TOKYO Web)

東京新聞:携帯情報サービス(TOKYO Web)

北から南まで、地域密着の最新ニュースを! ニュースクリップ

 

 

ブログ目次
☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所